海外ミステリの本棚

海外ミステリの本棚では、翻訳されたミステリー最新刊を中心にベストセラーも含め実際に読んだ感想・書評 カテゴリー/おすすめを紹介。 独自のジャンル分けや各種ベストテンランキング該当かなども掲載しています。読書頻度は1週間に1,2冊ですが、10年で1000冊を超えました。最新のミステリ情報をこちらからどうぞ。

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「 評価: ☆☆☆ 」 一覧

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ハマースミスのうじ虫/ウィリアム・モール/東京創元社(2006.8.31発行)

このミステリーがすごい!2007年度版(2006年)第13位 本書の裏表紙に「伝説の逸品」とあり、本書解説の方も「ついに復活した—–翻訳も新たに甦ったのだ」と書いています。素人探偵のワイン商キャソン・デューカーが主人公です。 邦題は直訳なのでしょうが、手にするのもちょっと気になる題名と思いませんか。 「ハマースミス街の脅迫者」か「ハマースミス街の奇想」の方がよかったのではないでしょうか。 刊…

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オックスフォード連続殺人/ギジェルモ・マルティネス/扶桑社ミステリー(2006.1.30発行)

2007年このミステリーがすごい第17位 アルゼンチンの作家によるちょっと不思議なミステリー 本書の評論家(本書あとがき)は解説の表題を『地球の反対側からの挑戦状』とつけています。 数学の論述が長すぎて途中で読むのをやめてしまった人もいるかもしれませんが、数学のところだけ飛ばして読んでも(私もそうしました)話は分かるはずなので、ご安心を。 結末をどう考えるかは人によって違うかもしれませんが、この結…

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ラスト・ブレス<死ぬための技術>/ピーター・スターク/講談社文庫

  2007/03/24    評価: ☆☆☆

人間の身体の不思議さ・機能のすばらしさにまず心打たれます。 また、人類がどれほど限られた条件下でしか生きられないことを再認識しました。 地球温暖化現象の進行の事実の前に戦慄の思いがしました。 …

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チェイシング・リリー/マイクル・コナリー/早川書房

  2007/01/03    評価: ☆☆☆

ハリーボッシュシリーズの8作目と9作目の間の単発作品 天才科学者のヘンリー・ピアスが主人公 自分が陥れられた罠に気がつき、自らを救うために事件の解決に挑んでいく作品です。 私個人としてはハリーボッシュシリーズのほうが読んでいて楽しかった。あなたはどうでしょうか。 …

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春は裏切りの季節/J.D. ロブ(ノーラ・ロバーツ)/ヴィレッジブックス(ソニーマガジンズ)(2006.4.20発行)

イヴ&ローク シリーズの第12作 このシリーズは初めて読みましたが、何の抵抗もなく入っていけます。 ロマンチックな気持ちと女性刑事の活躍を楽しみたい方に向いています。 ヴィレッジブックス(ソニーマガジンズ)より2006年4月20日発行 …

天使の鬱屈

天使の鬱屈/アンドリュー テイラー/ 講談社文庫(2006.2.15発行)

3連作の第3作目 (第1作『天使の遊戯』第2作『天使の背徳』) 第1作が出たのが2004年の2月 3作目までこんなに時間がかかっては忘れてしまいます。 講談社さん、こんなに時間がかかる理由を教えてください。 他の出版社が3部作を1月おきに出版したのをみても何か工夫が必要だと思います。 本の感想に「解説には単独でも楽しめる作品との言がありましたが、 意味深長な流れと裏腹に、実際の謎解きはあっさり終…

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報復ふたたび/ジリアン ホフマン/ヴィレッジブックス(ソニー・マガジンズ)(2005.11.10発行)

衝撃のデビュー作『報復』(日本で45万部以上のベストセラー)の続編 第2作 初めてのかたは是非第1作からお読みください。 原題は「Last Witness」 続編である本書も更に続くことが予想される終わり方です。 事件の全体の解明に、作者は読者をどこまで引っ張っていくつもりでしょうか。 本書は犯人を推理するタイプのミステリーではありません。 司法とは何か・正義とは何か。 検事補と一緒にその世界に飛…

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クライム・マシン/ジャック リッチー/晶文社ミステリ(2005.9.30発行)

2005年週刊文春ミステリベスト10(海外)第2位 解説の中に「リッチーは可能なかぎりシンプルに書くことにこだわった作家だった。無駄な言葉や描写を徹底的にそぎ落とすこと」と彼の作風が紹介されています。 ジャック・リッチー(1922-1983) はアメリカの作家 で、短篇ミステリーのスペシャリスト 全て殺人が絡む傑作17篇を収録したオリジナル傑作集 気軽に読める作品と真剣に読まないとわかりにくい作品…

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鏡のなかの予感/アイリス ジョハンセン/二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション

  2006/01/15    評価: ☆☆☆

アイリス・ジュハンセン ケイ・フーパー  フェイリン・プレストン 三人の作家が 過去・現在・未来の3つの時代に生きる女性の愛の物語を綴った作品。 3人の合作とは思わないほどひとつの作品になっています。 一族に伝わる未来を写す魔法の鏡が、二人の愛にどんな影響を与えるのか。楽しみながらお読みください。 …

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紙の迷宮〈上〉〈下〉/デイヴィッド リス/ハヤカワ・ミステリ文庫

デイヴィッド リスは1966年に生まれ、フロリダ南部で育つ。 2001年アメリカ探偵作家クラブ賞の最優秀新人賞獲得 創設期の株取引に絡んだ殺人事件を扱った歴史ミステリー 2001年8月15日早川書房より発行 1719年のロンドンは、こんな様子だったのかと本当に驚きます。 現在の社会のありがたみが良く分かります。     …

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魔力の女/グレッグ アイルズ/講談社文庫(2005.11.15発行)

  2005/12/17    評価: ☆☆☆

原題はSLEEP NO MORE 筋が分からないようにするには、どう表現したらよいのか困ってしまうミステリー。 魂の存在を信じる人なら夢中になること請け合いです。 グレッグ アイルズを初めて読む方は、是非作品の本国での発表順にお読みください。 『甦る帝国』『ブラッククロス』 『神の狩人』『沈黙のゲーム』 『24時間』『戦慄の眠り』 『魔力の女』『神の足跡』 2005年11月15日講談社文庫より発行…

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斬首人の復讐/マイケル・スレイド/文春文庫(2005.9.10発行)

  2005/10/24    評価: ☆☆☆

カナダの刑事弁護士ジェイ・クラークを中心とするチーム作家 登場人物が多すぎて名前を覚えるのに苦労しました。 いろいろと盛り込みすぎているミステリーですが凝っているのが好きな人には お薦めです。 好き嫌いがはっきりする作品です。 2005年9月10日文春文庫より発行 …

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死者を侮るなかれ/ボストン テラン/文春文庫(2003.9.10発行)

本の裏表紙に「名作『神は銃弾』の暴力の詩人が放つ崇高な暴力小説」と紹介されています。 この作者の作品を読んだことがあればそれほどのショックは受けないと思います。 『神は銃弾』を先に読まれてから本書を読んだ方が良いと思います。 母と子の複雑で屈折したかっとうを描いたミステリーです。 表現が独特で訳者の方もどんなにか苦労されたことでしょう。ご苦労様です。 2003年9月10日文春文庫より発行 第1長編…

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死の紅いバラ/ヘザー・グレアム/二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション

ヘザー・グレアムは、イリノイ州生まれ。ロマンス小説作家として確固たる地位を築いている。 本書は二見書房より2005年5月25日発行 ヒロインはTVドラマ女優のセリーナ ヒーローは私立探偵のライアム 訳者が後書きの中で「一筋縄ではいかない大人の恋愛の機微を描くのがとてもうまい作家」と書いていますが、まさにその通りです。 ミステリーよりは、恋愛に・ロマンスに重きがある作品です。 …

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昏(くら)い部屋/ミネット・ウォルターズ/創元推理文庫(2005.4.28発行 単行本は1999.9)

  2005/06/16    評価: ☆☆☆

1999年週刊文春ミステリベスト(海外)第17位 ミネット・ウォルターズの第4作 1995年の作品 映画化されています。「第一発見者」(監督:グラハム・シークストン 出演:デルバ・キールワン 1999年・英) 解説の中で「本書は——–根性のある人には二度読むことをおすすめします。作者はピ?スのまきちらしかたをすべて計算しています。」とあります。 これが本書の全てを表しています。凝りすぎて…