暴行/ライアン・ディヴィッド・ヤーン/新潮文庫(2012.5.1発行)
☆2010年CWA(英国推理作家協会)賞最優秀新人賞受賞作品
最近の新潮文庫が厳選して翻訳している海外ミステリの流れに沿った作品
本書は、暴漢に襲われる人物と傍観者となる幾人かの人物と悪徳警官とそれぞれの立場から語られていく手法をとっています。
語る人物が多いためしっかりと覚えておかないと混乱します。
スポーツバーの夜勤店長のキャット
母親の看病にあけくれるなかベトナム戦争への徴兵の出頭命令を受け取った19歳の少年パトリック。
家族がいるふりをしている郵政公社職員のトーマス。
車で赤ん坊を轢いてしまったかもしれないと怯えるエリンと夫の整備士のフランク。
初めてのスワッピングで自らを見失うピーター。
教師から受けた性的虐待の復讐が出来る立場にたった救急隊員デイヴィッド等様々な人びとが語ります。
1964年3月13日未明ニューヨーク・クウィーンズ区で実際に起きたキティ・ジェノヴィーズ事件
(28歳の女性が惨殺されるのを38人もの人々が目撃しながら、誰も警察に通報しようとしなかった事件)をもとに書かれています。
2012年5月1日新潮文庫より発行 原題は「ACTS OF VIOLENCE」
「人間の内なる闇と1960年代ニューヨークの病巣を鮮やかに抉る出す迫真の同時進行サスペンス」と本の裏書に。
関連
-
評価: ☆☆☆☆