海外ミステリの本棚

海外ミステリの本棚では、翻訳されたミステリー最新刊を中心にベストセラーも含め実際に読んだ感想・書評 カテゴリー/おすすめを紹介。 独自のジャンル分けや各種ベストテンランキング該当かなども掲載しています。読書頻度は1週間に1,2冊ですが、10年で1000冊を超えました。最新のミステリ情報をこちらからどうぞ。

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「 殺し屋(殺しのライセンスを持つ者)・スパイもの 」 一覧

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解雇手当/ドゥエイン・スウィアジンスキー/ハヤカワ・ミステリ文庫(2009.6.15発行)

「彼の名はポール・ルイス—–そして彼は、おのれの余命が七分しかないことを知らなかった。」という書き出しで、はちゃめちゃな物語はスタートとする。 訳者あとがきで「ぶっとんだ、途方もない作品」と本書を一言で表現 全くその通り。まるでコミックと思ったら、作家はコミックの制作に関わっている方でした。 映画化も予定されているそうです。 ☆ミステリが読みたい2010年版(早川書房)第19位 2009年6…

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死神を葬れ/ジョシュ・バゼル/新潮文庫(2009.8.1発行)

あのマイクル・コナリーも「この作品で私を吹き飛ばした」と絶賛したそうな。 物語は研修医のピーター・ブラウンが出勤途中にうなじに銃を押し付けられ、「騒ぐなよ、先生」と強盗に遭うところから始まる。 後はノンストップのノワールもの。 アメリカで医療にかかるのがとても怖くなります。何しろ現役の研修医さんが書いているのですから。 アメリカの書評には本書を「ベント・ノワ?ル」という分類にしているものもあるそう…

復讐の輪舞

復讐の輪舞/シルヴィア・デイ/ランダムハウス講談社(2009.4.10発行)

476ページの作品のうち253ページまで読みましたが、事件は全く起らずエロチックな描写ばかりです。 電車の中で読んでいたら隣の人が覗き込んで読んでいました。 訳者あとがきでは、「サスペンスあり、アクションあり、官能シーンありの—ヒストリカル・ロマンス」と紹介しています。 こんな屈折した女性がいるとは思えず、女性が書いた小説とは思われないのですが、エロチックな気分に浸りたい方にお勧めします。 最…

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コンラッド・ハーストの正体/ケヴィン・ウィグノール/新潮文庫(2009.2.1発行)

愛する人への手紙「十年前に、こんなふうにきみに手紙を書けばよかった。」という書き出しで始まるプロの殺し屋が主人公のラブストリー 一気に読んでしまいました。愛の深さに読み終わってからも涙が出てきました。 amazonのレビューの方々はこれをスパイ小説ととらえ、殺人を重ねてしまう理由に納得されていませんが、究極のラブストリーなのが作者の意図だと思うのですが。 そう考えてもう一度読み返してみてください。…

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狼のゲーム/ブレント・ゲルフィ/ランダムハウス講談社(2009.1.10発行)

現在のロシアを舞台にした衝撃の作品 主人公はロシアン・マフィアで元特殊部隊隊員のアレクセイ・ヴォルコヴォイ(通称ヴァルク)と恋人のチェチェン人のヴァーリャ 強烈なラブストリーです(第2作を読まないと断定はできませんが)。 『チャイルド44』(トム・ロブ スミス)と同じような衝撃が読む人を襲います。 主人公たちがこれだけ痛めつけられる犯罪小説はありません。 書いたのがロシアの人ではないところもチャイ…

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ヒラムの儀式(上)(下)/エリック・ジャコメッティ +ジャック・ラヴェンヌ/講談社文庫(2009.2.13発行)

1945年4月25日、ベルリン陥落寸前のドイツ第3帝国首相官邸、ある上級大隊指揮官が受けた指令は、ベルリンを密かに離れ、木箱を予定された隠し場所に埋めろというものだった。 物語は、ここから始まり、舞台はすぐ20005年5月のローマに移る—– ナチスでなくフリーメーソンが主題の壮大な歴史ものミステリ 人間が人間に対してできることに限界がないことを改めて知らされました。 ”庭師”は怖すぎます。 …

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狂犬は眠らない/ジェイムズ・グレイディ/ハヤカワ・ミステリ文庫(2007.12.15発行)

物語は、過酷な任務によって精神に異常をきたしたCIAの腕利きスパイ5人が、CIAの秘密の施設で治療を受けていたところから始まる。 5人の治療にあたった優秀な精神科医が—- デニス・ルへイン、ジョン・グリシャムらが絶賛した痛快なスパイ小説 こいつは本当に面白い!! ☆2008年週刊文春ミステリベスト10(海外)第10位 ☆2008年文庫翻訳ミステリーベスト10(講談社文庫)第10位 ☆このミステ…

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哀国者/グレッグ ルッカ/講談社文庫(2008.9.12発行)

ボディーガードのアティ カス・コディアックを主人公とするシリーズ第5作(番外編を入れれば第6作) 前作から、ボディーガードの仕事を描く小説から逸脱し、逃避・謀略・復讐を含む冒険小説(?)へと変身したように思いますが、面白さは変わりません。 ハードボイルドが根底に流れ、どうなるのか息もつかせぬ面白さです。 作者の談によれば変則ながら『逸脱者』の後半部分・『哀国者』・次作をもって三部作になるとのこと …

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ふたりの逃亡者/ボブ・メイヤー/二見文庫(2008.5.20発行)

原題は「BODYGUARD OF LIES」 物語の主人公は2人の女性 邦題はそれを意識したのでしょうか。 あっという間に引き込まれました。女性が力強く困難に立ち向かっていくストーリーが好きな方には絶対のお勧め作品です。 アメリカ合衆国の極秘情報機関<ザ・セラー>その工作員が病気で死亡したとき、微妙なバランスが崩れ—- 作者は続編のLost Girls を書き上げており、本書終了時からどう展…

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殺しのパレード/ローレンス・ブロック/二見文庫-ザ・ミステリ・コレクション(2007.12.25発行)

殺し屋ジョン・ポール・ケラーシリーズ第3弾 9篇からなる連作短編集 電車の中で気軽に楽しむ、殺し屋稼業を続けるケラーの心理を綴った短編集 訳者あとがきにケラーの次回作の紹介が出ています。次作を期待される方は、読まない方がよいと思います。 収録作品 「ケラーの指名打者」「鼻差のケラー」 「ケラーの適応能力」「先を見越したケラー」 「ケラー・ザ・ドッグキラー」「ケラーのダブルドリブル」 「ケラーの平生…

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殺しのリスト/ローレンス・ブロック/二見文庫-ザ・ミステリ・コレクション(2002.6.25発行)

殺し屋ジョン・ポール・ケラーシリーズ第2弾 長編といっても連作短編とほとんど変わりませんが、本書ははっきり言って失敗作 殺しの元締めを父親から引き継いだドットのやることなすことに、いらいらしてきました。 前作の短編のパターンと同じことの繰り返しも多くてがっかりです。訳者はあとがきの中で自分の自慢ばっかりとうとうと書いているし、いったい何を考えているのかな。 2002年6月25日二見文庫-ザ・ミステ…

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殺し屋/ローレンス・ブロック/二見文庫-ザ・ミステリ・コレクション(1998.10.25発行)

人情味あふれる(?)殺し屋ジョン・ポール・ケラーが主人公の連作短編集10編 「ケラーの選択」は1994年MWA(アメリカ探偵作家クラブ賞)最優秀短編賞受賞 「ケラーの責任」は1998年MWA(アメリカ探偵作家クラブ賞)最優秀短編賞受賞 引き込まれること、うけあいの短編集です。あっという間に読みきってしまいました。 殺し屋ケラーシリーズとして第2弾(長編)『殺しのリスト』(2002.6.25)第3弾…

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血と暴力の国/コーマック・マッカーシー/扶桑社ミステリー(2007.8.30発行)

闘うベストテン2007(ミステリチャンネル)海外ミステリ第4位 舞台は1980年代のアメリカテキサス 麻薬密売人の銃撃戦のあとに残され240万ドを持ち逃げしたベトナム帰還兵のモス 彼を追う殺し屋シュガー・初老の保安官ベル・謎の仕事人ウェルズ 今年のアカデミー賞で、作品賞・監督賞など4部門を受賞した映画『ノーカントリー』の原作 『ノーカントリー』は、ただいま日本でロードショー中です 原題“NO CO…

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あなたにさらわれて/エイミー・J・フェッツァー/ランダムハウス講談社文庫(2008.1.7発行)

国家最高機密の研究所の主任を務めるシドニー・へイル 国立公園内の地下6百フィート(約200メートル)にある極秘の研究所から地上に出て息抜きをして戻ってみると— 「スリリングでホットなロマンティック・サスペンス」と紹介されています。ヒロインを心配し応援するヒーローの気持ちになって物語を読んでいける作品です。面白かった!!! 作家はアメリカ・ニューイングランド州生まれ。19歳で結婚し、父、夫、息子…

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雨の掟/バリー・アイスラー/ヴィレッジブックス(ソニーマガジンズ)(2007.9.20発行)

父親が日本人・母親がアメリカ人の暗殺者ジョン・レインが活躍する待望のシリーズ第4作 やっとでました。 イスラエルからの暗殺の仕事の依頼を引き受けたジョン・レイン その結果、またまた絶体絶命のピンチに— 初めて持った相棒 元海兵隊のドックスとの迷(?)コンビぶりに心が躍る。 イスラエルの秘密工作員デリラとの関係はどうなるのかと心配になる。 あっというまに引き込まれていきます。 ヴィレッジブック…