海外ミステリの本棚

海外ミステリの本棚では、翻訳されたミステリー最新刊を中心にベストセラーも含め実際に読んだ感想・書評 カテゴリー/おすすめを紹介。 独自のジャンル分けや各種ベストテンランキング該当かなども掲載しています。読書頻度は1週間に1,2冊ですが、10年で1000冊を超えました。最新のミステリ情報をこちらからどうぞ。

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「 評価: ☆☆ 」 一覧

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ワイルドファイア(上)(下)/ネルソン・デミル/講談社文庫(2008.5.15発行)

前作の「ナイトフォール(上)(下)」と同じようにミステリとしては失敗作 007・ジェイムズボンドシリーズの映画のようにありえない設定が多く、痛快なスパイアクションもののように読めば面白いかも。 最新の世界情勢(といっても2001.9.11アメリカ同時多発テロに焦点が)からテーマを選択しており、その選択は読む人を強くひきつけるのに。あいかわらず展開が遅く、冗談や駄洒落の連発にいささか食傷気味になる。…

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夜愁(上)(下)/サラ・ウォーターズ/創元推理文庫(2007.5.31発行)

これがあの『荊の城』と『半身』を描いたサラ・ウォーターズとは ミステリファンとしては軽いショックを受けました。ミステリとしては本当に期待はずれの作品 (小説として読めば面白い作品ですが) 4年ぶりの作品 第4作目の長編小説 日本の高村薫と同じようにある特定の作品だけの人だったのだろうか。サラ・ウォーターズはでもすばらしかったのに なのにベストテンものには4つランクイン よく分からない 特にこの作…

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捜査官ガラーノ/パトリシア・コーンウェル/講談社文庫(2007.8.10発行)

パトリシア・コーンウェルの「検屍官ケイ・スカーペッタ」のシリ-ズではなく全く新しい作品 最初に本の薄さが気になりましたが、直感が当たり、本の外見だけでなく内容ももう少し膨らませて欲しかった。あっという間に終わってしまったという印象だけが残った。 マサチューセッツ州警察捜査官ガラーノ 彼を助ける女性捜査官サイクス タロット占いのガラーノの祖母 と印象に残る登場人物たちがいるので、次回があるとすればそ…

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ナイトフォール(上)(下) /ネルソン・デミル/講談社文庫(2006.9.15発行)

この作品は本当にネルソン・デミルの作品ですか。いつからこんなに展開が遅くなったのでしょうか。 300ページを過ぎても、思わせぶりな事が書かれているだけで、何も起きない。被害妄想に陥っているかのような主人公の心の葛藤ばかり。それをしつこく描き続ける。この辺で読むのを止める人がいてもおかしくない。 なんと何も起きないまま上巻が終わってしまった。 実際に起こった事件と事件をつないで創作したミステリーは、…

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サルバドールの復活〈上〉〈下〉/ジェレミー・ドロンフィールド /創元推理文庫(2005.10.14発行)

闘うベストテン2005(ミステリチャンネル)海外ミステリ第1位 どうしてこんなにわかりにくく書くのでしょうか。私には理解できません。メモをとって読まないことには、わからなくなってしまいます。 ミステリーとして十分楽しめる作品なのに、ここまでわかりにくいと放り出したくなります。場面の切り替えごとに小見出しをつけて、時代と場所が書いてあればどんなにか良かったでしょうか。 ミステリーの愛読者たちがすべて…

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パズル/アントワーヌ・ベロ/ハヤカワ・ノヴェルズ

アントワーヌ・ベロは、1970年ボストン生まれのフランス人 後に両親の住むフランスへ移住 闘うベストテン2005(ミステリチャンネル)海外ミステリ第5位 本書の広告として「世界最高の実験小説」「今世紀最大の異色問題作」とあります。 マニアックすぎて、普通のミステリーを読みたい方にはお勧めできません。 訳者も「これは推理小説なの?はたまた著者の文学的試みの一つなのか。推理小説だと思って手にした読者に…

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影の王国/アラン・ファースト/講談社文庫

  2005/09/30    評価: ☆☆

アラン・ファーストは、1941年ニューヨーク、マンハッタン生まれ。 本書の『影の王国』で、2001年のハメット賞に輝く 2005年8月15日講談社文庫より発行 歴史小説です。これは決してミステリ?ではありません。 小説としては面白かったのですが、評価はミステリーものではないため低くなりました。 世界中が第二次世界大戦に向かおうとしている大きな流れの中で、何とかナチスを 歴史の流れを変えようとした人…

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死を招く料理店(トラットリア) /ベルンハルト・ヤウマン/ 扶桑社ミステリー

  2005/05/20    評価: ☆☆

ベルンハルト・ヤウマンは、1957年、ドイツ・アウグスブルク生まれ。98年に作家デビュー。海外滞在経験をもとに、人間の五感をテーマに世界の都市を舞台にした連作ミステリーを発表。 その最終作に当たる『死を招く料理店(トラットリア)』が本書 ドイツ推理作家クラブが選ぶグラウザー賞受賞作 2005年2月28日扶桑社ミステリーより発行 何で賞を受賞できたのか私にはわかりません。イタリアの町と料理…

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イエスの古文書 (上) (下)/アーヴィング・ウォーレス/ 扶桑社ミステリー

ウォーレス,アーヴィングは、1916年シカゴ生まれ。綿密な取材と、卓抜なストーリーテリングで、小説家としても大成功をおさめる。90年死去 出版社からのコメントとして、 「『ダ・ヴィンチ・コード』に先立つこと30年!大ベストセラー作家が放つ、歴史ミステリーの最高峰」とあります。 『ダ・ヴィンチ・コード』の大ヒットを受けて、新潮文庫から「新聖書発行作戦」を改題・再編集したものです。 最後の部分の一部…

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焦熱の裁き/デイヴィッド・L.ロビンズ/新潮文庫(2005.1.1発行)

主人公は、嫌々ながら公選弁護人にされたの元検事補のナット・ディーズ 登場人物は面白いキャラクターで物語を飾ります。彼の級友でもある酔いどれ牧師のダービー・保安官補の黒人モンロー・インディアンの裁判所判事ザ・ホーク デイヴィッド・L.ロビンズは、事務弁護士の職を経てライターとなり、1998年に、幽霊との三角関係を描いたラヴ・ファンタジーSouls to Keepで小説家としてデビュー。 第二次大戦中…

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魔法/クリストファー・プリースト/ハヤカワ文庫 FT(378)(2005.1.31発行)

クリストファー・プリーストは1943年イギリス生まれ  『奇術師』が、一躍日本で脚光を浴びたおかげで文庫化された作品 1995年12月に単行本として 文庫本として2005年1月31日発行  病院の保養所ミドルクームで、爆発テロの巻き添えを食らい体中に怪我を負い、記憶も失っていた報道カメラマンのリチャード・グレイは、リハビリに励んでいた。。そこに訪ねてきた一人の女性。ここから物語が始まる。 後半の展…

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犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎/コニー・ウィリス/早川書房

2004年週間文春ミステリーベストテン第4位 舞台は西暦2057年 あなたの頭もその時代にタイムトラベル 本書はタイムトラベルで歴史を縦横に駆けめぐる史学生ネッドとヴェリティの活躍をユーモアたっぷりに描くSFミステリー。ヒューゴー賞・ローカス賞受賞作。 読後感想に他の人が「決して読みやすい本ではないが」「最初乗り切れるまでに時間がかかったので」と感想を述べているとおり最初は非常に読みにくい本です。…

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海賊岬の死体 -モーズリー判事シリーズ/ジェフ・アボット/ハヤカワ・ミステリ文庫(2004.7.8発行)

  2005/02/13    評価: ☆☆

治安判事モーズリーを主人公にしたシリーズ第2作 ちょっと凝りすぎているミステリー。あまり納得の行かない事件の事後説明。凝りすぎた結果だと思います。 邦題が気に入らない。海賊岬の死体?ふざけすぎていませんか。「お気軽判事」の説明文も気に入らない。早川書房はこのシリーズをどう売ろうとしているのでしょうか。 また、翻訳者の吉澤康子さん、447ぺージ終わりから4行目は間違っていませんか。「抹殺した」では話…

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痕跡 (上)(下)/パトリシア・コーンウェル/講談社文庫

作家はアメリカ・マイアミ生まれ 警察記者・検屍局のコンピューターアナリストを経て1990年『検屍官』で小説デビュー  ケイ・スカーペッタが主人公のシリーズ第13作  第4作『真犯人』が映画化の予定とのこと 公式ホームページ www.patriciacornwell.com 検屍官局長だったケイ・スカーペッタが、事件の依頼を受け5年ぶりにリッチモンドを訪れた。そこでみたものは、変わり果てた自分の検屍…

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死より蒼く/フィオナ・マウンテン/講談社文庫

  2005/01/02    評価: ☆☆

作家はイギリスでBBC放送のラジオ広報の仕事を経た女性作家 女性家族史探偵(系図を調べる学者)のナターシャ・ブレイクが活躍するシリーズもの第1作 イギリス・コッツウォルド地方のマナーハウスやロンドンが舞台になっています。ミステリ?と思わないで読んだ方が良いかもしれません。作家のホームぺージはwww.fionamountain.comでコッツウォルド地方やマナーハウスの写真などを見ることができます。…