海外ミステリの本棚

海外ミステリの本棚では、翻訳されたミステリー最新刊を中心にベストセラーも含め実際に読んだ感想・書評 カテゴリー/おすすめを紹介。 独自のジャンル分けや各種ベストテンランキング該当かなども掲載しています。読書頻度は1週間に1,2冊ですが、10年で1000冊を超えました。最新のミステリ情報をこちらからどうぞ。

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「 評価 」 一覧

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最後の生贄/ケヴィン・オブライエン/講談社文庫(2007.5.15発行)

  2007/06/06    評価: ☆☆☆☆

アメリカのベストセラー作家の第7作目 日本初邦訳 上院議員選挙に出る兄を手伝うことになった双子の妹ブリジット・ユリガン 二人の廻りで次々に事件が。 二人がひきずる高校時代の事件とは。 スリル満点のミステリーです。 2007年5月15日講談社文庫より発行 …

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12番目のカード/ジェフリー・ディーヴァー/文藝春秋(2006.9.30発行)

2006年週刊文春ミステリー第4位 リンカーンライムとアメリア・サックスのシリーズ第6作 シリーズが出されるたびに必ずミステリーベストテン上位に入り、高い評価を受け続けている作家に敬意を表します。 全く新しい驚きを作品ごとに読者に与えてくれます。是非お読み下さい。 検死官シリーズで高い評価を受けていたパトリシア・コーンウェルが、シリーズの後半には内容が急落し、評価を失ってしまったことを考えると、シ…

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ハマースミスのうじ虫/ウィリアム・モール/東京創元社(2006.8.31発行)

このミステリーがすごい!2007年度版(2006年)第13位 本書の裏表紙に「伝説の逸品」とあり、本書解説の方も「ついに復活した—–翻訳も新たに甦ったのだ」と書いています。素人探偵のワイン商キャソン・デューカーが主人公です。 邦題は直訳なのでしょうが、手にするのもちょっと気になる題名と思いませんか。 「ハマースミス街の脅迫者」か「ハマースミス街の奇想」の方がよかったのではないでしょうか。 刊…

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10ドルだって大金だ/ジャック・リッチー /河出書房新社(2006.10.30発行)

2006年週刊文春ミステリベスト10(海外)第5位 表題「10ドルだって大金だ」を含めて14の短編を集めた1983年に61歳で亡くなった短編集の名手ジャック・リッチーの作品集 わが国で独自に編まれた作品集『クライム・マシン』も過去にミステリーベストテン(2005週刊文春ミステリベスト10(海外)第2位)に入っていました。 このミステリーがすごい!2007年度版(2006年)ベスト20宝島社<海外>…

スクール・デイズ ロバート・B・パーカー

スクール・デイズ/ロバート・B・パーカー/早川書房(2006.12.15発行)

私立探偵スペンサーのシリーズ第33作 ボストン郊外の私立ハイスクールで2人の少年による銃乱射事件が起き、7人が射殺された。 (アメリカでついこの間の2007年4月16日(月)に米国史上最悪の銃乱射事件「バージニア工科大学銃乱射事件」が起きたばかり。この事件では、33名(教員5名、容疑者1名を含む学生28人)が死亡し、アメリカの学校が現場となった銃乱射事件では史上最大の犠牲者をだした。) 何故このよ…

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オックスフォード連続殺人/ギジェルモ・マルティネス/扶桑社ミステリー(2006.1.30発行)

2007年このミステリーがすごい第17位 アルゼンチンの作家によるちょっと不思議なミステリー 本書の評論家(本書あとがき)は解説の表題を『地球の反対側からの挑戦状』とつけています。 数学の論述が長すぎて途中で読むのをやめてしまった人もいるかもしれませんが、数学のところだけ飛ばして読んでも(私もそうしました)話は分かるはずなので、ご安心を。 結末をどう考えるかは人によって違うかもしれませんが、この結…

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シャルビューク夫人の肖像/ジェフリー・フォード/ランダムハウス講談社(2006.7.19発行)

このミステリーがすごい!2007年版(2006年)ベスト20宝島社第15位 1997年『白い果実』で世界幻想文学大賞を受賞し、アメリカのファンタジイ小説界で不動の地位を持つ作家。 どんな種類のミステリーに分類してよいのかよく分かりませんが、舞台は19世紀末のニューヨーク 画家のピアンボが奇妙な依頼を受けたことから物語は始まる。 謎の依頼にあなたも引き込まれていきます。 2006年7月19日ランダム…

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間違いの悲劇/エラリー・クイーン/創元推理文庫

2007年このミステリーがすごい 第18位 エラリー・クイーンの最新長編になるはずだった小説の精細なシノプシス※(梗概)と これまで単行本に未収録だった作品を合わせて載せた作品集。 ※書いてある分量でいうと、シノプシス→プロット→シナリオの順で多くなるそうです。 中学時代に推理小説の世界に私を引き込んだ作家の作品にまた触れることができて大変懐かしく思いました。 おもしろさは保証します。 2006年…

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血と薔薇/ジェームズ・パターソン/講談社文庫(2007.1.16発行)

前作『闇に薔薇』から待つこと1年9ヶ月 やっとワシントン市警のアレックス・クロス刑事シリーズ第7作が発行されました。第6作と二部作となっています。 いくら何でも待たせすぎだと思います。 読み物としては面白いのですが(訳者があとがきの中で「読者サービス満点の本書」と紹介しています)、ミステリーとしての出来はイマイチです。 また邦題が納得できません。第6作『Roses Are Red』が『闇に薔薇』 …

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無意識の証人/ジャンリーコ・カロフィーリオ/文春文庫(2005.12.10発行)

イタリアの現職のマフィア担当検事補が描く弁護士グイード・グエッリエーリが活躍する法廷サスペンスの第1作目 やや専門的な法廷サスペンスですが、一気に読み切ってしまいました。 アメリカの法廷サスペンスものと違い、派手などんでん返しがないため物足りない方もいるかも知れませんが、作家のカロフィーリオはこの処女作でイタリア国内の文学賞を5つ受賞しています。 第2作目『眼を閉じて』も既に発行されています。 2…

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煉獄の丘/ウィリアム・K・クルーガー/講談社文庫(2007.1.16発行)

コーク・オコナー元保安官のシリーズ第3作  第1作『凍りつく心臓』第2作『狼の震える夜』  既にこのシリーズは、アメリカで第6作まで刊行されています。 オジブワ族の長老が「わしらが価値を置くのは富そのものよりも、いかに富を使うかだ」という言葉と実践はとても心に強く残りました。 主人公の家族に対する愛情の深さ・主人公の推察やアメリカ原住民たちのすがすがしい心のすばらしさに打たれて、このシリーズのとり…

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堕天使の街/サラ・グラン/小学館文庫(2007.3.1発行)

  2007/04/27    評価: ☆☆☆☆

原題は「DOPE(麻薬)」   舞台は1950年のニューヨーク 麻薬を断ち切った女すりジョゼフィン・フランガンが主人公 つらく悲しすぎるストリー 現実の厳しさと麻薬の恐ろしさと人間の弱さと悲しさとをいやおうなしに思い知らされます。 2007年3月1日小学館文庫より発行 …

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見えざる報復者/アイリーン・ドライアー/ヴィレッジブックス(ソニーマガジンズ)(2007.1.20発行)  

アイリーン・ドライアーは外傷専門看護婦として16年にわたり活躍した後作家に転身 警官に囲まれて育ったスワット隊の女性医療隊員マギー・オブライアンが主人公 彼女が直面した問題をあなたが突きつけられたなら、あなたならいったいどう行動するでしょうか。彼女を心から応援しながら、あっという間に読み切ってしまいました。 女性医療隊員ですがカテゴリーでは女性刑事ものに分類しました。ご了解ください。 2007年1…

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欲望通りにすむ女/ドミニク・シルヴァン/小学館文庫(2007.3.1発行)

東京在住のフランミステリー作家による傑作ミステリー 元パリ警視のローラ・ショストとマッサージ師のインクリッド・ディーゼルの探偵コンビのシリーズもの第1作 二人の活躍に心が躍ります 早く続編が読みたい。とにかく面白い。映画化も期待したいほどの傑作です。 題名にはとらわれずに是非お読み下さい。本当にお勧めの作品です。 2007年3月1日小学館文庫より発行 …

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眩惑されて(上)・(下)/ロバート・ゴダード/講談社文庫(2007.3.15発行)

  2007/04/27    評価: ☆☆☆☆☆

うーん!面白い!!! ロバート・ゴダードの作品は面白いけど合わないと思っていましたが、この作品では心から楽しめました。 舞台はストーン・サークルで知られる英国南部エイヴバリー そこで物語は始まる。 幼い姉妹が犠牲となった誘拐殺人事件 守りをしていた子供たちを誘拐殺害された妻のサリーはデーヴィッドと別れた後、自責の果てに死を選ぶ。しかしその直前の不可解な行動には隠された真相が—- 18世紀と、…