海外ミステリの本棚

海外ミステリの本棚では、翻訳されたミステリー最新刊を中心にベストセラーも含め実際に読んだ感想・書評 カテゴリー/おすすめを紹介。 独自のジャンル分けや各種ベストテンランキング該当かなども掲載しています。読書頻度は1週間に1,2冊ですが、10年で1000冊を超えました。最新のミステリ情報をこちらからどうぞ。

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「 評価 」 一覧

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ハスラー/ウォルター・テヴィス/扶桑社ミステリー(2007.2.28発行)

闘うベストテン2007(ミステリチャンネル)海外ミステリ第5位  ミステリではなくギャンブラーを描いた優れた小説です ギャンブルに勝つには技術だけでなく精神が如何に大切か。そういえばサッカーの世界でも中田英寿がそんなことをいっていたような気がします。 ポール・ニューマン主演で大ヒットした1961年のプール・ビリヤード映画『ハスラー』の原作 ウォルター・テヴィスは、1959年本書で長編デビュー 約半…

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ハズバンド/ディーン・クーンツ/ハヤカワ文庫(2007.4.25発行)

11時43分携帯電話にかかってきた一本の電話が造園業を営むミッチを地獄に突き落とした—– 先を一刻も早く読みたくてひどい寝不足になってしまいました。 次々と立ちはだかる障害・連続して起こるスリル満点の展開の速さに脱帽です。 対決の刻(上)(下)講談社文庫と違ってSF的な要素は全くありません。題名があらわすように夫婦の愛の物語です。 愛する人のためならばあなたは人を殺せますか。 2007年4月…

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目くらましの道(上)(下)/ヘニング・マンケル/創元推理文庫(2007.2.16発行)

スウェーデンの港町イースタの警部クルト・ヴァランダー シリーズ第5作(長篇)  読み終わってしまったのが、残念でなりません。また、最初から読み直そうかな。 久しぶりに迫力のある警察捜査小説にまた出会うことができました。捜査もののミステリが好きな人には絶対にお薦めの作品です。 マイクル・コナリーの刑事ハリー・ボッシュ シリーズと肩を並べる心に残る警察小説 こちらには無能でいやな上司は出てこないし、み…

ずっとお城で暮らしてる

ずっとお城で暮らしてる/シャーリイ・ジャクスン/創元推理文庫

ミステリが読みたい2008年版ベスト・ミステリ2007(早川書房)第16位 あたしは、メアリ・キャサリン・ブラックウッド 18歳 ほかの家族はみんな死んでしまった。この屋敷に姉のコンスタンスと暮らしている—– 恐怖ホラー(?)ミステリ 背筋が冷たくなる感覚を求める人はぜひお読みください。ホラーものが好きでない方にはあまりお薦めできません。 このミステリも1960年代の作品です。平成6年に学研…

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怪盗タナーは眠らない/ローレンス・ブロック/創元推理文庫(2007.6.22発行)

闘うベストテン2007(ミステリチャンネル)海外ミステリ第10位 1966年に書かれた本書 今年のベストテンものには古い作品が多いのが特徴ですね。 脳に損傷を受けたため、眠ることができなくなったエヴァン・タナー  その時間を利用して語学や歴史の学習に入れ込み、世界中のさまざまな団体に所属して知的好奇心を満足させていました。大量のアルメニア金貨がトルコ領内に埋もれているとの情報を得て—– ジョ…

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死んでもいきたいアルプス旅行/マディ・ハンター/扶桑社ミステリー(2006.3.30発行)

2004年度のアガサ賞「最優秀処女長編賞」にノミネートされた作品 エミリーは、おばあちゃんの付き添いでスイス周遊の高齢者向けツアーに参加した。ホテルの設備は問題あり、食事はイマイチ、ご長寿連はやたら時間にうるさい。最初の晩、添乗員が—– お年寄りの団体旅行は、洋の東西と問わず絶句もののオンパレード、団体のお年寄りに勝てるものはありません。 ミステリとしてよりは、爆笑ものの添乗員旅行記と考えて…

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虚空から現れた死/クレイトン・ロースン/ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ 原書房(2007.7.31発行)

2008本格ミステリ・ベスト10海外(原書房)(2007)第7位 部屋を訪れた若い女性は、ほんのわずかの隙に殺された。地上五階、閉められていた窓は大きく開き、そこからコウモリが空へと羽ばたいていった。若い女性は、「コウモリの鳥小屋…」と言い残した。彼女の喉には、小さな赤い傷が残された—– こんな書き出しではまるで吸血鬼ドラキュラの話のようですが、そうではありません。 魔術師が出てくるミステリ…

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ジョン・ディクソン・カーを読んだ男/ウィリアム・ブリテン/論創海外ミステリ(2007.9.5発行)

2008本格ミステリ・ベスト10海外(原書房)(2007)第5位 ミステリーへの深い愛情と鮮やかな謎解き・あふれるユーモアで贈る「?を読んだ?」シリーズ全11篇外に3篇を加えた計14篇の短編集です。 電車の中で読むのに適したミステリファンにとって心から楽しめる短編集です。 ウィリアム・ブリテンはニューヨーク・ロチェスター生まれ 長い間教師の職に 64年にミステリ作家デビュー このミステリーがすごい…

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あなたにさらわれて/エイミー・J・フェッツァー/ランダムハウス講談社文庫(2008.1.7発行)

国家最高機密の研究所の主任を務めるシドニー・へイル 国立公園内の地下6百フィート(約200メートル)にある極秘の研究所から地上に出て息抜きをして戻ってみると— 「スリリングでホットなロマンティック・サスペンス」と紹介されています。ヒロインを心配し応援するヒーローの気持ちになって物語を読んでいける作品です。面白かった!!! 作家はアメリカ・ニューイングランド州生まれ。19歳で結婚し、父、夫、息子…

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対決の刻(上)(下)/ディーン・クーンツ/講談社文庫(2008.1.16発行)

28歳の職探し中の美女ミッキー・ベルソング 目の前で母親を殺され、追っ手から逃げる10歳 の少年 議員の女性関係を調査する私立探偵ノア・ファレル 3つの話がそれぞれ平行して進行していきます 三つの話が早く一つにまとまれと念じたり、祈っていたら、あなたはこの物語にどっぷりとはまっています。 作者の意図は— 本文からこの文章をあなたに送ります。「私たちは疑うためにこの宇宙に生まれてきたんじゃな…

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夜愁(上)(下)/サラ・ウォーターズ/創元推理文庫(2007.5.31発行)

これがあの『荊の城』と『半身』を描いたサラ・ウォーターズとは ミステリファンとしては軽いショックを受けました。ミステリとしては本当に期待はずれの作品 (小説として読めば面白い作品ですが) 4年ぶりの作品 第4作目の長編小説 日本の高村薫と同じようにある特定の作品だけの人だったのだろうか。サラ・ウォーターズはでもすばらしかったのに なのにベストテンものには4つランクイン よく分からない 特にこの作…

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ジェニファーへの手紙/ジェイムズ・パタースン/ヴィレッジブックス(ソニーマガジンズ)(2006.4.20発行)

最愛の祖母が病に倒れたことを知り、子供のころ、よく夏を過ごしたなつかしい湖畔の家に戻ったジェニファーが見つけたものは、彼女に宛てて書かれた何通もの祖母からの手紙—- 大ベストセラー『スザンヌの日記』のベジェイムズ・パタースンが贈る2作目のラブ・ストーリー 祖母から愛する孫娘への手紙には、思いもしなかった祖母の生き方が綴られていました。 人生の目的とは何かを、この本を読む人に静かに問いかけてき…

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双生児/クリストファー・プリースト/早川書房(2007.4.20発行)

2007年週刊文春ミステリベスト10(海外)第4位 歴史ノンフィクション作家のグラッドは第2次世界大戦中に活躍したある大尉の情報を求めていた。あまりに矛盾する内容があるからだった—- 舞台は第2次世界大戦中のイングランドとドイツ ナチスの副総統ルドルフ・ヘスに関する正確な歴史の知識が必要です。 面白かったのであっという間に読んでしまいましたが、正直なところ作者の意図を正確に理解できたのかよく分…

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スザンヌの日記/ジェイムズ・パタースン/ヴィレッジブックス(ソニーマガジンズ)(2002.5.20発行)

ニューヨークの女性編集者ケィティと詩人のマット 愛し合っていったはずの二人 突然別れを告げられたケィティのもとに、翌日マットから小包が届く—– ミステリ作家が贈る初のラブ・ストーリー アメリカでは発売とともにベストセラーの1位に 原題『Suzanne’s Diary for Nicholas』 訳者あとがきの中で『「ロマンス小説」「ミステリとラブ・ストリーを合体させた新しい試み」とさまざまな…

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天使が震える夜明け/P.J.トレイシー/ヴィレッジブックス(ソニーマガジンズ)(2006.9.20発行)

2004年アンソニー賞・バリー賞・ガムシュー賞・ミネソタ文学賞最優秀新人長編賞を連続受賞 ウィスコンシンの田舎町の教会で老夫妻が殺された。隣の州のミネアポリスでは、パソコンのゲームを正確に模した殺人事件が次々と起こる。この2つの事件は—– この本が日本でミステリのベストテンものにランクインしなかったのは何故なのでしょうか。読み終わってしまうのが、心から残念になってしまうミステリでした。絶対に…