海外ミステリの本棚

海外ミステリの本棚では、翻訳されたミステリー最新刊を中心にベストセラーも含め実際に読んだ感想・書評 カテゴリー/おすすめを紹介。 独自のジャンル分けや各種ベストテンランキング該当かなども掲載しています。読書頻度は1週間に1,2冊ですが、10年で1000冊を超えました。最新のミステリ情報をこちらからどうぞ。

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「 評価 」 一覧

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ハリウッド警察25時/ジョゼフ・ウォンボー/ハヤカワ・ミステリ(2007.8.15発行)

2007週刊文春ミステリベスト10(海外)第9位 表題の通りハリウッド警察の警察官たちの24時間を追って、語られる警察官たちの物語。 著者のジョゼフ・ウォンボー(1937年ピッツバーク生まれ)は、1974年までロサンゼルス市警の警察官だった 彼の作品が日本で紹介されてからなんと11年ぶりの本書 良い作者のものが見直されているのはミステリファンにとっていいことですね。 警察官たちに対する愛情があふれ…

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悪魔はすぐそこに/D.M.ディヴァイン/東京創元社(2007.9.28発行)

2008本格ミステリ・ベスト10海外(原書房)(2007)第2位 ハードゲート大学の講師ピーターは亡父の友人ハクストン博士から、横領の容疑で免職の危機にあると、助けを求められる。博士は、大学の理事会の審問の場で、私を処分するなら過去の事件の真相を暴露すると発言するが—– 「英国探偵小説の実力派が送る傑作」と紹介されている。原題は「Devil at Your Elbow」 邦訳『こわされた少年…

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異人館/レジナルド・ヒル/ハヤカワ・ミステリ(2007.1.10)

このミステリーがすごい!2008年版(2007年)ベスト20宝島社<海外>第17位 過去の歴史を求めて、イングランド北西部の小さな村を訪れた、オーストラリアからやってきた若い赤髪の女性数学者と、スペインからやってきた歴史を研究中の若者とが、導かれるように同じパブ兼旅籠屋(異人館)に宿泊し、自分のルーツに関わる謎をとくミステリ 訳者あとがきのなかで「レジナルド・ヒルの書くミステリは人間が生きていく…

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議会に死体/ヘンリー・ウェイド/原書房(2007.2.28発行)

2008本格ミステリ・ベスト10海外(原書房)(2007)第9位 辛らつな発言を繰り広げた議員が、議会のほんのわずかな休憩時間に議場でナイフで刺されて殺された。発見したのは、議員に会いにきた彼の妻。 捜査に当たる捜査官は、クウェンバラ警察本部長として着任したばかりのレース大尉 事件捜査の経験がないレースは、スコットランド・ヤードに応援を要請するが— 英国の「黄金時代の代表作家」といわれるヘンリ…

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切り裂かれたミンクコート事件/ジェームズ・アンダースン/扶桑社ミステリー(2006.1.30)

2008本格ミステリ・ベスト10海外(原書房)(2007)第4位 ユーモアたっぷりの明るいミステリ ちょっと迷いましたが、ユーモアミステリに分類しました 第1作の『血染めのエッグ・コージイ事件』と舞台も同じ第12代バーフォード伯爵の所有する「オールダリー荘」 様々なゲストが次々と(予約なしに)到着して、事件の幕が切って落とされます。 1981年に刊行された本書 復刊ものです。なお、22年ぶりに第3…

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病める狐(上)(下)/ミネット・ウォルターズ/創元推理文庫(2007.7.27発行)

ミステリが読みたい2008年版ベスト・ミステリ2007(早川書房)第5位 舞台は、イングランド南西部の寒村 原題は「FOX EVIL」 2003年英国推理作家協会(Crime Writers’ Association = CWA)ゴールド・ダガー(フィクション)/最優秀長篇賞(THE GOLD DAGGER)受賞作品 旧家の財産相続問題と流れ者(トラヴェラー)の一団による土地の不法占拠問題に周り…

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ビーチハウス/ジェイムズ・パタースン/ヴィレッジブックス(ソニーマガジンズ)(2003.5.20発行)

帰郷した見習いの弁護士ジャックは,弟ピーターの死亡を聞き、愕然とする。海辺に打ち上げられた弟を 警察は事故死として扱う—- 読みかけの本を外国のホテルに置き忘れたため、半月もの中断をしてしまった本 続きを読みたくてたまらなかった本書にまた会えました。 無理な設定をしている箇所がちょっと気になりますが、痛快な法廷もの(?)ミステリです。 ぜひお読みください。 2003年5月20日ヴィレッジブック…

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市民ヴィンス/ジェス・ウォルター/ハヤカワ・ミステリ文庫(2006.12.15発行)

2006年度MWA(アメリカ探偵作家クラブ賞)最優秀長編賞受賞作品 闘うベストテン2007(ミステリチャンネル)海外ミステリ第7位 主人公はドーナツ屋の主人 ヴィンス・キャムデン 裏稼業のカード偽造と麻薬の密売をやめられずにいた。ある日、何者かがヴィンスの命を狙い始めた—-  過去に立ち向かい、どうやってこれからを生きていくかの物語 アメリカ探偵作家クラブは、まじめな話が好きなのでしょうか。 …

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死の記憶/トマス・H. クック/文春文庫(1999.12.5発行)

  2008/01/13    評価: ☆☆☆☆☆

1999年週刊文春ミステリベスト10(海外)第3位 9歳のスティーヴは、友達の家に遊びに行っていて、一家惨殺事件から生き残った  それから35年後—- 一家惨殺事件は、いったいなぜ起こったのか トマス・H. クックの過去の作品を読みたくなって、手にした作品 長編小説としては11作目 読み始めると止めれない魅力ある作品 この作家は本当にすごい ぜひお読みください 1999年12月5日文春文庫より…

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緋色の記憶/トマス・H. クック/文春文庫(1998.3.10発行)

☆1997年度MWA(アメリカ探偵作家クラブ賞)最優秀長編賞受賞作品 ☆1998年週刊文春ミステリベスト10(海外)第1位 ミステリベストものの常連作家 過去の作品を読みたくなって、手にした作品 先を読まずにはいられなくなる構成のうまさに脱帽です。 舞台は1926年のボストン近郊の小さな町 姦通罪があったころのアメリカです 1998年3月10日文春文庫より発行 …

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真夜中に捨てられる靴/デイヴィッド・マレル/ランダムハウス講談社(2007.5.1)

闘うベストテン2007(ミステリチャンネル)海外ミステリ第8位 表題を含む全8篇の短編集 著者は「ランボー」の原作者 表題の「真夜中に捨てられる靴」は、先を読まずにはいられないし、読み始めたら止まらない短編ミステリです。 サンタフェ市警に勤めるロメロ巡査は、通勤路の道路に落ちている靴に目を留める—- それ以外の作品には、同じ作家が書いたとは思えない、内容が異なるミステリ短編が集まっています …

治療島

治療島/セバスチャン・フィツェック/柏書房(2007.7.5発行)

ミステリが読みたい2008年版ベスト・ミステリ2007(早川書房)第16位 ミステリベストものに一つしかランクインしなかったのがとても不可解と思える面白さ これほど先を読みたくなってしまうミステリに久しぶりに会えました 2006年夏に出版されるや、ドイツ・アマゾンで何週間にわたってベストアエラーランキング第1位を守り続けたとのこと ドイツでは映画化も決定している ドイツのミステリ書評オンラインマガ…

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熱帯夜の狩人/リサ・ガードナー/ヴィレッジブックス(ソニーマガジンズ)(2006.3.20発行)

FBIアカデミーの研修生キンバリー・クインシーとジョージア捜査局特別捜査官マック・マコーマックが主人公 日本での5冊目の作品 何よりも被害者の救援を最優先にして取り組む二人を応援しながら、一気に読んででしまいました。 リサ・ガードナーこの人から目を離せません。 2006年3月20日ヴィレッジブックス(ソニーマガジンズ) より発行 …

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グール/マイケル・スレイド/東京創元社(1993.4.30発行)

  2007/12/29    評価: ☆☆☆☆

究極のサイコ・スリラーを書くために3人の犯罪研究の弁護士がユニットを組んで取り組んだ彼らの2番目の作品 複数の殺人鬼が現われ、ぶきみな殺人事件の連続 話があっちこっちに飛びすぎて、分かりにくくなっています。書く方は3人で、読む方は1人なのだから、もう少し工夫して欲しいと思いました。 この人たちの癖なのでしょうね。 とにかく残酷すぎるので、好き嫌いが出る作品です。デビュー作は「ヘッドハンター」(上)…

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沈黙の虫たち ミネアポリス警察署殺人課シリーズ/P.J.トレイシー/集英社文庫(2007.11.25発行)

『天使が震える夜明け』に続くミネアポリス警察署殺人課シリーズの2作目 第1作を読まずに読みましたが、のめり込んでいきました。こんなおもしろさはひさしぶりです。大好きなシリーズになりそうです。第3作が待ちどうしい!!!お薦めできる作品です。 作者はなんと母と娘のチームです。 第1作と出版社と翻訳者まで変えたため、続けて読んだ方はだいぶとまどわれたようです。 2007年11月25日集英社文庫より発行 …