海外ミステリの本棚

海外ミステリの本棚では、翻訳されたミステリー最新刊を中心にベストセラーも含め実際に読んだ感想・書評 カテゴリー/おすすめを紹介。 独自のジャンル分けや各種ベストテンランキング該当かなども掲載しています。読書頻度は1週間に1,2冊ですが、10年で1000冊を超えました。最新のミステリ情報をこちらからどうぞ。

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「 評価 」 一覧

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聖なる怪物/ドナルド・E.ウェストレイク/ 文春文庫

  2005/02/20    評価: ☆☆☆☆☆

ドナルド・E・ウェストレイクDonald E. Westlakeは、1933年ニューヨークのブルックリン生まれのミステリー作家。三大学を中退。2年半の空軍勤務。1960年作家デビュー。傑作多数の名匠。 本書は1989年発表 日本では文春文庫から2005年1月10日発行された。『斧』がこのミステリーがすごい2002年版海外編第4位『鉤』このミステリーがすごい2004年版海外編第5位と好評だったので、…

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マンハッタンの薔薇/シンシア ビクター/講談社文庫

  2005/02/19    評価: ☆☆☆☆☆

シンシア・ビクターは、女性の抱える問題をテーマにしたロマンチックなサスペンスを発表アメリカで人気を集めてiいます。日本で紹介されている他の作品として、『遺言執行人』 What Matters Most (1996) 講談社文庫と『ダブル・シークレット』 The Secret (1997) 講談社文庫がある。 本書The Sistersは日本では2004年5月15日講談社文庫より発行されています。訳…

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霧のとばり/ローズ・コナーズ/二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション(2005.1.20発行)

本書は2003年MWAメアリ・ヒギンス・クラーク賞を受賞 リーガルサスペンスの新星として一躍注目を集めました。 舞台はケープコッドの町。この場所について詳細を知りたい方はアメリカの国立公園ケープコッド海浜公園を参照してください。女性検事補マーティ・ニッカーソンが主人公です。 最近読んだなかでは最高の作品だと思います。 法廷ミステリーとしてすばらしいだけでなく、犯罪被害者の立場もきちんと捉えている希…

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誰でもない男の裁判/A・H・Z・カー (著) /晶文社ミステリ

2004年週間文春ミステリーベストテン第5位 貨幣の価値に時代を感じる他は全く時代を感じさせません。あなたはどの短編に一番高い評価を与えるでしょうか。私は読んだ後にさわやな気持ちになれた、最後の作品が気に入りました。 短編集なので、電車の中で読むのにも適しています。 A・H・Z・カーはアメリカの政治経済学者・作家 1902年生まれ1971年没 トルーマン大統領の特別補佐官を務め、経済界でも成功を収…

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逃げる悪女/ジェフ・アボット/ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 288-3)(2005.1.15発行)

  2005/02/15    評価: ☆☆☆

治安判事ホイット・モーズリーを主人公にしたシリーズ第3作 ミステリ?として読むよりは、気軽な冒険小説として楽しむ本。 あまりにも都合の良い銃撃場面や殺人が多すぎて納得ができなくなるので、何も考えずに楽しめば良い。 冒険小説にしては少し物足りないし、法廷ミステリでは全くありません。主人公を判事にした意味は一体どこにあるのでしょうか。 主人公の母親のタフな生き方や親子の愛情にはほろりとさせられました。…

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海賊岬の死体 -モーズリー判事シリーズ/ジェフ・アボット/ハヤカワ・ミステリ文庫(2004.7.8発行)

  2005/02/13    評価: ☆☆

治安判事モーズリーを主人公にしたシリーズ第2作 ちょっと凝りすぎているミステリー。あまり納得の行かない事件の事後説明。凝りすぎた結果だと思います。 邦題が気に入らない。海賊岬の死体?ふざけすぎていませんか。「お気軽判事」の説明文も気に入らない。早川書房はこのシリーズをどう売ろうとしているのでしょうか。 また、翻訳者の吉澤康子さん、447ぺージ終わりから4行目は間違っていませんか。「抹殺した」では話…

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風の踊り子/アイリス ジョハンセン/二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション(2003.8.22発行)

幻の秘宝ウインドダンサーシリーズ三部作のひとつ   舞台は今度はさらにさかのぼり、16世紀ルネッサンスのイタリア。 第2作の『女神たちの嵐』でマリー・アントワネットが大事にしていたウインドダンサー、そのウインドダンサーが何故フランス王室の手に入ったかが本編で明らかにされます。 主人公はフィレンツェの街角でスリを働く奴隷の娘サンチア 歴史ミステリーを絡めたロマンスを楽しみたい方は是非お読みください。…

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女神たちの嵐〈上〉〈下〉/アイリス ジョハンセン/二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション(2002.6.24発行)

幻の秘宝ウインドダンサーシリーズ三部作のひとつ  舞台は十八世紀末の革命にゆれるフランス  前作『風のペガサス』の主人公ケイトリンが大事にしていたカトリーヌの日記がありましたが、その日記を書いたカトリーヌと親友のジュリエット・ド・クレマンが主人公です。 文中にある「トゥット・ア・テ・ミ・ギダ(あらゆるものが私をあなたに導いていく)」がこの小説の主題です。 冬のソナタのようなラブストリーに歴史ミステ…

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ジェニファー・ガバメント/マックス・バリー/竹書房文庫

闘うベストテン2004(ミステリチャンネル)第7位 「もしもの世界」に慣れるのに時間がかかりますが、慣れてくると楽しめます。 主人公は登場人物として挙げられている6人ですが、しいて一人を上げるとすれば女性政府捜査官の題名にもあるジェニファー・ガバメントです。現在の社会を強烈に批判し、皮肉った「もしもの世界」の設定になっています。 どんな世界になっても、人間としての守るべきことがあることを教えてくれ…

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蜘蛛の微笑/ティエリ・ジョンケ/ハヤカワ・ミステリ文庫

このミステリーがすごい!2005年版(2004年) 宝島社第13位 訳者があとがきで「この小説は何の予備知識もなく読んで欲しい」と書いています。私もこれにしたがって、レビュー(文庫本裏側の記載)を読まずに(もっともここを事前に読むとつまらないのでほとんど読んだことはありませんが)読みました。 ミステリのファンは高い評価を与える作品だと思います。短いですし(167ページ)、是非お読みください。あっと…

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白い雌ライオン/ヘニング マンケル/創元推理文庫(2004.9.30発行)

クスウェーデンの港町イースタの警部クルト・ヴァランダー シリーズ第3作 【CWAゴールドダガー受賞シリーズ】 ☆このミステリーがすごい!2005年版(2004年)宝島社第15位 スウェーデンの田舎町で、不動産業者の女性が消えた。失踪か、事件か、事故か?—– 人種隔離政策撤廃前の南アフリカの問題を背景に起きた事件をクルト・ヴァランダー刑事が追いかけます。 スーパースターでもない彼の心の葛藤や人…

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リガの犬たち/ヘニング マンケル/創元推理文庫(2003.4.11発行)

スウェーデンの港町イースタの警部クルト・ヴァランダー シリーズ第2作 舞台は独立運動のさなかのラトヴィア スウェーデンの海岸に流れ着いたゴムボートに2人の男の射殺体。この事件の捜索のため、ラトヴィアのリガから捜査官がやって来た。 今回は、クルト・ヴァランダー刑事が単身で事件に巻き込まれていきます。 このシリーズを是非お楽しみ下さい。 ヘニング・マンケルは現代スウェーデンを代表する人気作家です。 本…

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殺人者の顔/ヘニング マンケル/創元推理文庫(2001.1.26発行)

☆CWAゴールドダガー受賞シリーズ ☆スウェーデン推理小説アカデミー最優秀賞受賞作品 スウェーデンの港町イースタの警部クルト・ヴァランダーが主人公のシリーズ第1作 スウェーデンの田舎町イースタが舞台  離婚して体重も増えてしまったヴァランダー刑事がイースタ署のメンバーと力をあわせて、老夫婦の惨殺事件と外国移民逗留所での事件解決に取り組む。読み始めたら面白くてとまりません。 人間味あふれる警察署の皆…

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メービウスの環 (上巻) (下巻)/ロバート・ラドラム/新潮文庫(2005.1.1発行)

  2005/02/04    評価: ☆☆☆☆☆

作家は巨匠ロバート・ラドラム ニューヨーク生まれ 作品は立て続けにベストセラー入りし、ラドラムの奇跡と謳われた。2001年73歳で亡くなる。 1980年新潮文庫から出された『暗殺者』は原題『ボーン・アイデンディディー』のまま映画化され、2005年2月11日から続編『ボーン・スプレマシー』が日劇1ほかで全国一斉ロードショウ公開となっている。 本書は2002年に発表された作品の全訳 発想の豊かさ・スケ…

天使の背徳

天使の背徳―Requiem for an angel/アンドリュー・テイラー/講談社文庫(2005.1.15発行)

作家はイギリス生まれ 82年デビュー作が英国推理作家協会の最優秀新人賞を受賞 3連作の第2作『天使の背徳』 舞台は1969年から1970年のイギリス・ロンドン近郊の小さな町 主人公は教会牧師のデイヴィット・バイフィールド 第1作の『天使の遊戯』に老牧師として登場していました。 第2作のこの作品はミステリというよりは、第1作よりさらに心理描写に重点を置いた小説だといってよいと思います。3作目まで読ま…