瘢痕/トマス・エンゲル/ハヤカワ文庫(2014.9.25発行)
『犯罪心理捜査官セバスチャン』のセバスチャンと本書主人公の123ニュースの記者ヘンニング・ユール。
共にとてもつらい状況で自分の子どもを亡くしている。
その痛みを抱え、それを忘れるためにふたりとも事件に立ち向かっていく。そこに共感するのでしょうか。
その真剣さに、つらさに心打たれます。
公園にぽつんと張られた白いテント。昨日まではそこに無かったテントの中に、まさかあんなものが隠されていたとは――物語は酸鼻をきわめる女子学生殺害事件の発生で幕を開けます。
現在形で書かれているため、最初はとても読みづらかったが、面白さが勝って、慣れてくると気にならなくなりました。
犯人の動機に関する説明や動機付けが弱く、こんな動機でこれほどの犯罪を犯すとはあまり思えません。その点だけが残念です。
ヘンニング・ユールを主人公にしたシリーズは全6作の構想の下に出版が進められているそうです。映画化も進んでいます。
2014年9月25日ハヤカワ文庫より発行
<作家紹介>
1973年オセロ生まれ
オンライン新聞社に8年間在籍
2010年に本書で作家デビュー
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ジャーナリスト(新聞記者・雑誌編集者)もの, 評価: ☆☆☆☆