海外ミステリの本棚

海外ミステリの本棚では、翻訳されたミステリー最新刊を中心にベストセラーも含め実際に読んだ感想・書評 カテゴリー/おすすめを紹介。 独自のジャンル分けや各種ベストテンランキング該当かなども掲載しています。読書頻度は1週間に1,2冊ですが、10年で1000冊を超えました。最新のミステリ情報をこちらからどうぞ。

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「 歴史ミステリもの 」 一覧

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ガラスのなかの少女/ジェフリー・フォード/ハヤカワ文庫(2007.2.28発行)

2006年度アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀ペイパーバック賞受賞 舞台は1932年アメリカ東海岸 世界大恐慌のあとの混乱の時代 金持ち相手の降霊会を催して金を搾り取る詐欺師たちは、降霊会のなかで浮かび上がった少女の姿に、その謎を追うことに———- 主人公は霊媒師トマス・シェルに命を助けられた不法移民の少年ディエゴ この少年の成長とそれを見守る大人たちの愛の物語 お薦めの一冊です。これを薦…

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無頼の掟/ジェイムズ・カルロス・ブレイク/文春文庫(2005.1.10発行)

このミステリーがすごい!2006年版(2005年)宝島社第3位 舞台は1920年代のルイジアナ 叔父たちと銀行を襲ったソニーは失敗して一人逮捕されてしまう——– 解説者は「犯罪小説、西部小説、悪漢小説、教養小説、青春小説、そして恋愛小説」と本書を紹介しています。 本当にいろいろな要素が入り交じった小説で、楽しめること保証いたします。あっという間に読み切ってしまいました。 本書はジェイムズ…

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エンジェル・メイカー/ジェシカ・グレグソン/ランダムハウス講談社(2007.11.1発行)

舞台は1914年ハンガリーの片田舎ファルチカ 「ナジレーヴのエンジェル・メイカー殺人事件」という実話をもとに描かれた歴史サスペンス このような事件が何故起こったかを深く掘り下げた傑作だと思います。 主人公は薬草と看護の知識を持つ、まじない師の娘シャーリ・アラニュ 彼女を応援しながら読まずにはいられない作品です。史実は女性解放の一つの形だったのでしょうか。 歴史サスペンス界の新星女流作家ジェシカ・グ…

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夜愁(上)(下)/サラ・ウォーターズ/創元推理文庫(2007.5.31発行)

これがあの『荊の城』と『半身』を描いたサラ・ウォーターズとは ミステリファンとしては軽いショックを受けました。ミステリとしては本当に期待はずれの作品 (小説として読めば面白い作品ですが) 4年ぶりの作品 第4作目の長編小説 日本の高村薫と同じようにある特定の作品だけの人だったのだろうか。サラ・ウォーターズはでもすばらしかったのに なのにベストテンものには4つランクイン よく分からない 特にこの作…

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双生児/クリストファー・プリースト/早川書房(2007.4.20発行)

2007年週刊文春ミステリベスト10(海外)第4位 歴史ノンフィクション作家のグラッドは第2次世界大戦中に活躍したある大尉の情報を求めていた。あまりに矛盾する内容があるからだった—- 舞台は第2次世界大戦中のイングランドとドイツ ナチスの副総統ルドルフ・ヘスに関する正確な歴史の知識が必要です。 面白かったのであっという間に読んでしまいましたが、正直なところ作者の意図を正確に理解できたのかよく分…

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緋色の記憶/トマス・H. クック/文春文庫(1998.3.10発行)

☆1997年度MWA(アメリカ探偵作家クラブ賞)最優秀長編賞受賞作品 ☆1998年週刊文春ミステリベスト10(海外)第1位 ミステリベストものの常連作家 過去の作品を読みたくなって、手にした作品 先を読まずにはいられなくなる構成のうまさに脱帽です。 舞台は1926年のボストン近郊の小さな町 姦通罪があったころのアメリカです 1998年3月10日文春文庫より発行 …

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殺人者は夢を見るか(上)(下)/ジェド・ルーベンフェルド/講談社文庫(2007.10.16発行)

舞台は1909年摩天楼建築ブームにわくニューヨーク 精神分析の講演を行うためジークムント・フロイトが汽船で到着したところから物語が始まります。 読み始めたら止められない面白さ。是非お読み下さい。精神分析の勉強にもなる(?) 作家のジェド・ルーベンフェルドはなんとイェール大学のロースクールの現役の教授 第2作を書き始めているそうです。 原題は『The Interpretation of Murder…

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口は災い/リース・ボウエン/講談社文庫(2007.6.15発行)

☆2002年アガサ賞(AGATHA AWARDS)最優秀長篇賞(BEST NOVEL)受賞作品 物語の舞台は、1901年のアイルランドとニューヨーク 22歳のアイルランド人女性モリー・マーフイが主人公 あっという間に読みきってしまいました。本書が、アガサ賞最優秀長編賞を受賞したことが納得できます。 他人になりすましアメリカ行きの移民船に乗り込んだモリーに、上陸直前におきた殺人事件の容疑が—–…

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シャルビューク夫人の肖像/ジェフリー・フォード/ランダムハウス講談社(2006.7.19発行)

このミステリーがすごい!2007年版(2006年)ベスト20宝島社第15位 1997年『白い果実』で世界幻想文学大賞を受賞し、アメリカのファンタジイ小説界で不動の地位を持つ作家。 どんな種類のミステリーに分類してよいのかよく分かりませんが、舞台は19世紀末のニューヨーク 画家のピアンボが奇妙な依頼を受けたことから物語は始まる。 謎の依頼にあなたも引き込まれていきます。 2006年7月19日ランダム…

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荒ぶる血/ジェイムズ・カルロス・ブレイク/文春文庫(2006.4.10発行)

このミステリーがすごい!2007年版(2006年)ベスト20宝島社第3位 2006年週刊文春ミステリベスト10(海外)第10位 本書はジェイムズ・カルロス・ブレイクの第7長編 掛け値なしにおもしろい!!! 1913年のメキシコから物語は始まり、1936年が舞台となっている時代物ミステリー。 評価が高いのも頷ける作品です。 2006年4月10日文春文庫より発行 …

風の影

風の影(上)(下)/カルロス・ルイス・サフォン/集英社文庫(2006.7.20発行)

2006年週刊文春ミステリベスト10(海外)第2位 読み終わった後もずっと心がぽかぽかしてくる、そんな素敵なミステリーです。 心温まる、スペイン内戦時代を舞台にした友情と夢の物語をあなたも楽しんでください。ベストセラーになっている理由が分かります。 訳者はあとがきの中で「読者の心にほんとうにとどいた作品は必ず生き残る」と本書を紹介しています。 スペインの現代小説では史上空前ともいえる超ロング・ベス…

天使の鬱屈

天使の鬱屈/アンドリュー テイラー/ 講談社文庫(2006.2.15発行)

3連作の第3作目 (第1作『天使の遊戯』第2作『天使の背徳』) 第1作が出たのが2004年の2月 3作目までこんなに時間がかかっては忘れてしまいます。 講談社さん、こんなに時間がかかる理由を教えてください。 他の出版社が3部作を1月おきに出版したのをみても何か工夫が必要だと思います。 本の感想に「解説には単独でも楽しめる作品との言がありましたが、 意味深長な流れと裏腹に、実際の謎解きはあっさり終…

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紙の迷宮〈上〉〈下〉/デイヴィッド リス/ハヤカワ・ミステリ文庫

デイヴィッド リスは1966年に生まれ、フロリダ南部で育つ。 2001年アメリカ探偵作家クラブ賞の最優秀新人賞獲得 創設期の株取引に絡んだ殺人事件を扱った歴史ミステリー 2001年8月15日早川書房より発行 1719年のロンドンは、こんな様子だったのかと本当に驚きます。 現在の社会のありがたみが良く分かります。     …

獣たちの庭園

獣たちの庭園/ジェフリー・ディーヴァー/文春文庫

2005年週刊文春ミステリベスト10(海外)第5位 文庫本の裏表紙に『「どんでん返し職人」ディーヴァーが初めて挑んだ歴史サスペンス』と紹介されています。 ドイツのナチス台頭時代 ナチス高官の暗殺を命じられたニューヨークの殺し屋 ベルリンオリンピックの選手団とともにドイツに入国します。 ドイツのナチスが台頭してきた時代に人々はどう生きたのか。どうナチスと闘ったのか。 日本にもあったこのような時代の中…

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ダンテ・クラブ/マシュー・パール/新潮社(2004.8.25発行)

2004年週刊文春ミステリベストテン第8位 読み始めたら止められない優れた本格派のミステリーだと思います。 舞台は1865年の南北戦争終了直後のボストン。殺人事件が起こります。事件の謎に気がついたのは—– 限りない友情と愛が根底に流れる歴史ミステリーです。自信を持ってお薦めします。本が厚くて重いのだけが欠点です。 出版社からのコメントとして「“緻密なプロット、古典というテーマ、博学なキャラク…