評価: ☆☆☆☆☆

男性刑事(捜査官)もの

催眠(上)(下)/ラーシュ・ケプレル/ハヤカワ文庫(2010.7.25発行)

「スウェーデン発『ミレニアム』に続く衝撃のサスペンス」と本書あとがきに 匿名作家の完成度の高い処女作に、その正体が誰かをめぐり、2009年スウェーデン出版界の話題を独占した作品 ミレニアム三部作の故スティーグ・ラーソンが実は生きているのではという説まで飛び出した。 そして、なんと本国での出版を待たずに20カ国以上に翻訳権が売れたそうです。 一家皆殺し事件の唯一の生存者で瀕死の重傷を負った少年から事...
ユーモア・ミステリ

ぼくを忘れたスパイ(上)(下)/キース・トムソン/新潮文庫(2010.10.1発行)

痛快で笑いを誘うユーモア・スパイ小説 避けて通れない認知症 この頃NHKでは毎日のように認知症対策の特集を組んでいます。 とびきり有能なスパイがアルツハイマー病にかかったら--- 原題は「ONCE A SPY」 ソーシャルワーカーからの電話で疎遠だった父を施設に迎えにいったチャーリーは、父の症状はアルツハイマー病だとの説明を受ける---- 既に第2作「Twice A Spy」の刊行が決まっているよ...
2011年版(早川書房)

回帰者/グレッグ ルッカ/講談社文庫(2010.8.12発行)

約2年の月日を経てやっと、ボディーガードのアティ カス・コディアックを主人公とするシリーズ第6作(番外編を入れると第7作)がでました。 グルジアの小さな町コブレチでアリーナとひっそりと暮らしていたアティ カスの平和な時間は、愛犬ミアタが何かに反応していると目覚めたときに終わった---- 『逸脱者』の後半部分・『哀国者』本書で3部作が完成 必ず『逸脱者』からお読みください。出来れば第1作『守護者』か...
冒険アクションもの

天使は振り返る(上)(下)/グレッグ・アイルズ/講談社文庫(2010.8.12発行)

待ちに待ったグレッグ・アイルズの作品が約2年の歳月を経て、やっと手の中にあります。 そのプロローグは衝撃的です。 町の誇りと讃えられていた17歳の美しい少女が流れに浮かび、ミシシッピ川へと流れていった---- 主人公は検事出身で43歳の作家ペン・ケージ  『沈黙のゲーム』から7年 シリーズ第2作 法廷ミステリではありません。ハードボイルドな冒険アクション小説です。 読み終わった後にあなたには何が残...
評価: ☆☆☆☆☆

さよならまでの三週間/C・J・ボックス/ハヤカワ文庫(2010.5.15発行)

養子縁組紹介所のジュリーからの電話は、「実の父親が、アンジェリーナを返して欲しいって」--- 三週間の猶予を与えられたジャックとメリッサの夫婦は、引き取った赤ん坊アンジェリーナを守るため文字道理死力を尽くす--- 『ブルー・ヘブン』で2009年アメリカ作家クラブ賞最優秀長編賞を受賞 猟区管理官ジョー・ピケット シリーズでも有名な作家C・J・ボックスが送る本作品 読み終わったときに涙が自然にでてきま...
2010国内外ミステリ

沼地の記憶/トマス・H・クック/文春文庫(2010.4.10発行)

このミステリーがすごい!宝島社ベストテンのランクイン数では、ジェフリー・ディーヴァーに次ぐ史上第2位の作家 作者はインタビューの中で 「スタンダードなミステリを書き続けるうちに物語の途中途中に手がかりを埋め込んでいかなくてはことにフラストレーションを感じはじめた」 「解決に向かって脇目もふらずに進んでいくような小説が好きではない」 また「暗い物語は光を届けるために書かれるのであって、闇をもたらすた...
冒険アクションもの

裏切りの峡谷/メグ・ガーディナー/集英社文庫(2010.5.25発行)

主人公は軍人一家に育った女性弁護士でSF作家のエヴァン・ディレニーとボーイフレンドで車椅子の弁護士ジェシー・ブラックバーンのシリーズ第2作 第1作から約6ヶ月で第2作と対面できましたが、出版社も翻訳者も変わりました。 内容はとびっきりの冒険アクションサスペンス そんなのありかなという事件が連続する。休む暇はありません。 訳者はあとがきで主人公のエヴァン・ディレニーを 「知識人にあるまじき悪態をつき...
2010年

音もなく少女は/ボストン・テラン/文春文庫(2010.8.10発行)

主人公はアパートの管理人の暴君の父と小さな工場で働く母クラリッサのもとに1951年に生まれた耳の聴こえない娘イヴ 途中で涙が止まらなくなる場面があります。 ボストン・テランの作品は、気軽に読むミステリではありません. しかし読んだ後に元気が沸いてきます。 自分よりも弱い者・弱い立場にある者に対する暴力や愚行は、社会全体でなんとしてもとめなければなりません。 虐待事件が相次ぐ日本の児童相談所の職員に...
正統派ユダヤ教徒リナ&ロサンゼルス市警のデッカー・シリーズ

豊饒の地(上)(下)/フェイ・ケラーマン/創元推理文庫(1995.9.29発行)

正統派ユダヤ教徒リナ&ロサンゼルス市警のデッカー・シリーズ第3弾 深夜、丘陵地帯をゆっくり車で走り帰宅しようとするデッカーに一瞬の光が目にとまった。 捜索をやめるなと告げる内なる声に導かれたデッカーを待っていたのは、二歳にも満たない幼児だった---- 愛と友情の物語は深く深く読む人をひきつける。 今回は両親からの捜索願が出ないのに大事にされていたことがわかる幼児の事件・デッカーの戦友エイベルが売...
ラブストーリー

聖と俗と/フェイ・ケラーマン/創元推理文庫(1993.12.17発行)

17年前このシリーズは読んだ記憶がありますが、最新作を読んで今回また読み返すことにしました。 正統派ユダヤ教徒リナ&ロサンゼルス市警のデッカー・シリーズ 第2作 クリスマス・イヴにデッカーと山の中でキャンプを張っていたリナの子供サミーが黒焦げの人骨2体を発見したところから本編第2作は始まります。 このシリーズは、リナとデッカーと、その二人をめぐる人々の愛と成長の物語です。 社会の厳しい現実と宗教の...
「もしもの世界」でのミステリ(SFミステリ)もの

[番外編]1Q84 BOOK1?3 /村上春樹/新潮社(2010.4.16発行)

作者の解説によれば“10歳で出会って離れ離れになった30歳の男女が、互いを探し求める話” べストセラーになる本は読みやすくて、先を読みたいと誰もが思うような構成と展開を持っている。 昨年世界中を巻き込んだベストセラー『ミレニアム1?3』にもまったく同じことが当てはまります。 大きな違いは、ミレニアムの作家は亡くなってしまったが、村上春樹は元気なこと。 第3巻は展開が遅く、ちょっといらいらさせられた...
正統派ユダヤ教徒リナ&ロサンゼルス市警のデッカー・シリーズ

水の戒律/フェイ・ケラーマン/創元推理文庫(1993.4.23発行)

☆1987年マカヴィティ賞(Macavity Award)最優秀処女長編賞受賞作品 舞台はロサンゼルスにある正統派ユダヤ教の神学校イェシヴァを中心としたユダヤ教徒のコミュニティ この閉ざされたコミュニティのなかで事件が相次いで起こる---- 二人はこの事件で知り合うことになりました。 正統派ユダヤ教徒リナ&ロサンゼルス市警のデッカー・シリーズ第1弾 作者は「ユダヤ教徒のコミュニティを描くことで、ユ...
女性私立探偵もの

押しかけ探偵/リース・ボウエン/講談社文庫(2010.6.15発行)

☆2003年アガサ賞(AGATHA AWARDS)最優秀長篇賞(BEST NOVEL)ノミネート作品 物語の舞台は、1901年のニューヨーク 22歳のアイルランド人女性モリー・マーフイが主人公の待望のシリーズ第2作 前作からちょうど3年の年月を経て第2作が登場しました。ちょっとばかり待たされすぎです。 初めてお読みになる方は必ず第1作からお読みください。 女性に職業選択の自由がほとんどなかった時代...
ローマ市警の刑事ニック・コスタ シリーズ

蜥蜴の牙(上)(下)/デヴィッド・ヒューソン/武田ランダムハウスジャパン(2010.6.10発行)

ローマ市警の刑事ニック・コスタのシリーズ第4作 薪とガスという昔ながらの方法で父から伝えられた秘伝の技術でガラスを作るアルカンジェロ家のガラス職人ウリエル その日、炉の状態がいつもと違うことに気がついた---- ローマからヴェネツィアに飛ばされたニックとその仲間たちが、事件の背後にいる黒幕にすべてを投げ打って正義の戦いを挑みます。 彼らを応援して読むほうも力が入ってしまいました。勝利するのはいった...
評価: ☆☆☆☆☆

海のカテドラル(上)(下)/イルデ・ファンソ・ファルコネス/ランダムハウス講談社(2010.5.10発行)

物語は1320年14世紀のスペイン・カタルーニャの農村で婚礼が行われているところから始まる。 時代に翻弄される親と子の愛の物語 刊行直後からスペインでベストセラーになり、1年近く売り上げランキング首位を独占した作品 20世紀の日本に生まれたことがどんなに幸運だったか痛感します。 こんな理不尽なことが、こんな困難がただ普通に生きるために必要な時代があったのですね。 2010年5月10日ランダムハウス...