海外ミステリの本棚

海外ミステリの本棚では、翻訳されたミステリー最新刊を中心にベストセラーも含め実際に読んだ感想・書評 カテゴリー/おすすめを紹介。 独自のジャンル分けや各種ベストテンランキング該当かなども掲載しています。読書頻度は1週間に1,2冊ですが、10年で1000冊を超えました。最新のミステリ情報をこちらからどうぞ。

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「 2005年版 (2004年) 」 一覧

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このミステリーがすごい!2005年度版(2004年)ベスト20 宝島社<海外>

このミステリーがすごい!〈2005年版〉 宝島社 (2004.12.22出版) 第1位 『荊の城 上・下』/サラ・ウォーターズ/創元推理文庫       第2位 『魔術師(イリュージョニスト)』/ジェフリ・ワイルズ・ディーヴァー/文藝春秋    第3位 『ワイオミングの惨劇』/トレヴェニアン/新潮文庫 第4位 『ダ・ヴィンチ・コード(上)(下)』/ダン・ブラウン/角川書店     第4位 『ファイ…

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魔術師 (イリュージョニスト)/ジェフリー・ディーヴァー/文藝春秋(2004.10.13発行)

読み終わった後でもまだなにかが起きるのではないかと思って、もう一度本を手にしたとたん手にした本が消えたりして。まさかね?でもそんなことさえ考えてしまうミステリーです。 四肢麻痺の科学捜査官「リンカーン・ライム」シリーズ第5作 このミステリーがすごい!2005年度版(2004年)宝島社第2位 事前の情報は全く入れないで読んでください。 昨年中に日本で出版された海外ミステリーのなかで総合評価トップとい…

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ダ・ヴィンチ・コード (上)(下)/ダン・ブラウン/角川書店(2004.5.31発行)

2004年週刊文春ミステリベスト第1位 ある区の図書館の予約待ち件数がいまだ580件以上もある空前の人気作。 ベストセラーになるには、やはりきちんとした理由がありました。 ?読みやすくて(訳者の方の力も大きいと思います)、展開が早く、先を読まずにはいられない構成になっている。 ?動機や事件について納得のいく説明がわかりやすくされている。 これを読むと、パリのルーブル美術館はもとより、イギリス・イタ…

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ダンテ・クラブ/マシュー・パール/新潮社(2004.8.25発行)

2004年週刊文春ミステリベストテン第8位 読み始めたら止められない優れた本格派のミステリーだと思います。 舞台は1865年の南北戦争終了直後のボストン。殺人事件が起こります。事件の謎に気がついたのは—– 限りない友情と愛が根底に流れる歴史ミステリーです。自信を持ってお薦めします。本が厚くて重いのだけが欠点です。 出版社からのコメントとして「“緻密なプロット、古典というテーマ、博学なキャラク…

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ケルベロス第五の首/ジーン・ウルフ/国書刊行会; 未来の文学版(2004.7.25発行)

このミステリーがすごい!2005年版(2004年)宝島社第19位 あるレビュアーは「一ページ目から引き込まれてしまう。一ページ目の第2パラグラフまで読まれたい。」 あるレビュアーは、「単純に物語を楽しむぼくには、本書の行間を掘り起こして思考するような小難しいテクスト性はまったくおもしろくなかった」と書いていて、賛否両論に意見が大きく分かれる作品です。 私の感想を言えば、思ったり難解ではなく、引き込…

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イデアの洞窟/ホセ・カルロス・ソモザ/文芸春秋

2004年週刊文春ミステリベストテン第9位 イギリス推理作家協会最優秀長篇賞受賞 ホセ・カルロス・ソモサは、1959年キューバ生まれ スペインのマドリッド在住の元精神科医 現在までに9冊の著作があり、英訳された作品は本書が初めて  このミステリーがすごい2005年度(宝島社)でも第15位 日本のミステリー界での評価も高い作品です。 古代ギリシャのミステリーに、脚注の形で説明がついている。その脚注…

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蛇の形/ミネット・ウォルターズ/創元推理文庫

2004年週刊文春ミステリベストテン第7位 本書は2000年の作品。日本では6作目の紹介作品となるが、作者にとっては第7作目の作品 この人の作品は、本当におもしろい。読み始めたら止まりません。自信を持ってお薦めできる作品です。内容は読んでからのお楽しみです。 ミネット・ウォルターズ Minette Waltersは1949年イギリス生まれ 1992年『氷の家』でCWA(英国推理作家協会)最優秀新人…

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〈プラチナファンタジイ〉 奇術師/クリストファー・プリースト/ハヤカワ文庫(2004.4.30発行)

闘うベストテン2004(ミステリーチャンネル)第1位 世界幻想文学大賞受賞作品 アンドルー・ウェストリーは、超常現象の特集記事を担当する新聞記者。 一卵性双生児の兄弟がどこかにいるのではないかといつも心に感じていた。 20世紀初頭の稀代の2人の奇術師が残した手記がその謎を解明していく物語。 クリストファー・プリーストは、1943年イギリス生まれ 近年はSFと幻想小説との境界線上にある作品を発表 …

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犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎/コニー・ウィリス/早川書房

2004年週間文春ミステリーベストテン第4位 舞台は西暦2057年 あなたの頭もその時代にタイムトラベル 本書はタイムトラベルで歴史を縦横に駆けめぐる史学生ネッドとヴェリティの活躍をユーモアたっぷりに描くSFミステリー。ヒューゴー賞・ローカス賞受賞作。 読後感想に他の人が「決して読みやすい本ではないが」「最初乗り切れるまでに時間がかかったので」と感想を述べているとおり最初は非常に読みにくい本です。…

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赤い霧/ポール アルテ/ハヤカワ・ポケット・ミステリ

2004年週刊文春ミステリベストテン第10位 舞台は19世紀末のイギリスのブラックフィールドという村 新聞記者のシドニー・マイルズを名乗る男が十年ぶりにこの村で10年前に起こった密室殺人事件を調べるために帰ってきた。 密室の謎解きの大好きな人や『ホ・・・』と『ワ・・・』まで登場するので、英国ミステリーのファンには見逃せない物語です。個人的には、密室の謎解きものにはあまり興味がないので、評価が低くな…

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荊[いばら]の城 (上)(下)/サラ・ウォーターズ/創元推理文庫(2004.4.22発行)

このミステリーがすごい!2005年度(宝島社)第1位 ミステリーが好きだったら、一度は読んでみる価値のある作品です。  本作品は英国推理作家協会賞の歴史ミステリ部門にあたるエリス・ピーターズ・ヒストリカル・ダガー賞を受賞 ブッカー賞最終候補作品 舞台は19世紀半ば、ロンドンのラント街。表向きは錠前屋だが、盗品を転売するイッブズ親方・事情がある女から赤ん坊を預かり、引き取り手を見つけるサクスビー夫人…

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誰でもない男の裁判/A・H・Z・カー (著) /晶文社ミステリ

2004年週間文春ミステリーベストテン第5位 貨幣の価値に時代を感じる他は全く時代を感じさせません。あなたはどの短編に一番高い評価を与えるでしょうか。私は読んだ後にさわやな気持ちになれた、最後の作品が気に入りました。 短編集なので、電車の中で読むのにも適しています。 A・H・Z・カーはアメリカの政治経済学者・作家 1902年生まれ1971年没 トルーマン大統領の特別補佐官を務め、経済界でも成功を収…

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蜘蛛の微笑/ティエリ・ジョンケ/ハヤカワ・ミステリ文庫

このミステリーがすごい!2005年版(2004年) 宝島社第13位 訳者があとがきで「この小説は何の予備知識もなく読んで欲しい」と書いています。私もこれにしたがって、レビュー(文庫本裏側の記載)を読まずに(もっともここを事前に読むとつまらないのでほとんど読んだことはありませんが)読みました。 ミステリのファンは高い評価を与える作品だと思います。短いですし(167ページ)、是非お読みください。あっと…

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白い雌ライオン/ヘニング マンケル/創元推理文庫(2004.9.30発行)

クスウェーデンの港町イースタの警部クルト・ヴァランダー シリーズ第3作 【CWAゴールドダガー受賞シリーズ】 ☆このミステリーがすごい!2005年版(2004年)宝島社第15位 スウェーデンの田舎町で、不動産業者の女性が消えた。失踪か、事件か、事故か?—– 人種隔離政策撤廃前の南アフリカの問題を背景に起きた事件をクルト・ヴァランダー刑事が追いかけます。 スーパースターでもない彼の心の葛藤や人…

弁護士は奇策で勝負する

弁護士は奇策で勝負する/デーヴィッド・ローゼンフェルト/文春文庫

2003年アメリカ探偵作家クラブ新人賞候補 このミステリーがすごい!2005年度版(2004年)宝島社第18位 法廷ミステリの傑作だと思います。とんでもない手を使って無罪を勝ち取る若手弁護士が、死刑囚の再審請求を当の死刑判決を勝ち取った検事である父から依頼され、事件の真相に迫っていきます。 読んでいて自分も一緒に参加している気持ちになれます。なお、真相は読んでからのお楽しみです。 軽快なテンポで交…