血の極点/ジェイムズ・トンプソン/集英社文庫(2016.1.25発行)
カリ・ヴァーラ警部シリーズの第4作
フィンランド警察特殊部隊を率いるカリ・ヴァーラ警部の家の窓に、脅迫文つきの煉瓦が投げ込まれた。そんな折、カリはエストニア人の女性から、売春組織にさらわれたダウン症の娘の捜索を頼まれる—
カリの部下ミロとスイートネスの3人が主人公といってもよいので、この2人からも目を離せません。
第5作を執筆中に作家が急死されたため、カリ・ヴァーラたちがこれからどうなっていくかは永久にわからずじまいに。これぞ本当にミステリ。どう想像していくかは読者に一任されてしまいました。
残念だけど訳者のように「最初から用意された最終巻でしたと言われれば、それはそれで納得できる終わり方でもある』と無理やり矛を収めるしかないかも。だってジェイムズ・トンプソンはもうこの世にいないのだから。
シリーズ中に劇的に変化した荒唐無稽のこの物語の行く末を書ける人など世界広しといえどもどこにもいないのだから。
2016年1月25日集英社文庫より発行 原題は「HELSINKI BLOOD」
<カリ・ヴァーラ警部シリーズ>
第1作『極夜(カーモス)』
第2作『凍氷』
第3作『白の迷路』
第4作『血の極点』本書
第5作『Helsinki Dead』執筆中に著者が急死(事故死)
<作家紹介 ジェイムズ・トンプソン>
1964年10月生まれ、2014年8月亡くなる。
ヘルシンキ大学で英語文献学の修士取得。同校でフィンランド語を修得、6か国語を学ぶ。
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