海外ミステリの本棚

海外ミステリの本棚では、翻訳されたミステリー最新刊を中心にベストセラーも含め実際に読んだ感想・書評 カテゴリー/おすすめを紹介。 独自のジャンル分けや各種ベストテンランキング該当かなども掲載しています。読書頻度は1週間に1,2冊ですが、10年で1000冊を超えました。最新のミステリ情報をこちらからどうぞ。

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「 2008年版 (2007年) 」 一覧

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このミステリーがすごい!2008年版(2007年)ベスト20宝島社<海外>

2007年12月6日宝島社より発行 海外ミステリ第1位から第20位までの本を紹介 第1位 『ウォッチメイカー』/ジェフリー・ディーヴァー/文藝春秋 第2位 『復讐はお好き?』 /カール・ハイアセン/文春文庫 第3位 『TOKYO YEAR ZERO』/デイヴィッド・ ピース/文藝春秋 第4位 『物しか書けなかった物書き』/ロバート・トゥーイ/河出書房新社 第5位 『悪魔はすぐそこに』/D.M.ディ…

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路上の事件/ジョー・ゴアズ/扶桑社ミステリー(2007.7.30発行)

このミステリーがすごい!2008年版(2007年)ベスト20宝島社第6位 舞台はアメリカ1953年の夏 作家志望の主人公ビアス・ダンカンが貨物列車から飛び降りたところから物語が始まります。 次から次に起きる事件現れる多くの登場人物たち 目が廻ってしまいそうでした。 実際にサンフランシスコで12年にわたって私立探偵として活動したジョー・ゴアズの長篇作品リスト第13作目 <長篇作品> 翻訳されているも…

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物しか書けなかった物書き/ロバート・トゥーイ/河出書房新社(2007.2.10発行)

このミステリーがすごい!2008年版(2007年)ベスト20宝島社<海外>第4位 生涯短編一筋を貫いた短篇作家トゥーイの傑作14篇 表題の作品のようなSF的なものから、借金取りや警官を騙して喜ぶ男の馬鹿話や『階段はこわい』のような生涯の内に4度結婚して4度とも妻を事故で亡くした男の話など多種多様の作品が集まっています。 ミステリが読みたい2008年版 ベスト・ミステリ2007(早川書房)でも第14…

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血と暴力の国/コーマック・マッカーシー/扶桑社ミステリー(2007.8.30発行)

闘うベストテン2007(ミステリチャンネル)海外ミステリ第4位 舞台は1980年代のアメリカテキサス 麻薬密売人の銃撃戦のあとに残され240万ドを持ち逃げしたベトナム帰還兵のモス 彼を追う殺し屋シュガー・初老の保安官ベル・謎の仕事人ウェルズ 今年のアカデミー賞で、作品賞・監督賞など4部門を受賞した映画『ノーカントリー』の原作 『ノーカントリー』は、ただいま日本でロードショー中です 原題“NO CO…

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TOKYO YEAR ZERO トーキョー・イヤー・ゼロ/デイヴィッド・ピース/文藝春秋(2007.10.10発行)

このミステリーがすごい!2008年版(2007年)ベスト20宝島社第3位 デイヴィッド・ピースは1967年イギリス生まれ 1994年東京に移住 東京三部作の第1作 舞台は敗戦の日から始まりその1年後が中心 とにかく読みにくかったなというのが感想です。そうでなくともわかりにくいのに、こんなに同じ文書の繰り返しでは正直言ってイライラする。 これがなければ面白いのにな。言葉遊びは自分の世界だけにして欲し…

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目くらましの道(上)(下)/ヘニング・マンケル/創元推理文庫(2007.2.16発行)

スウェーデンの港町イースタの警部クルト・ヴァランダー シリーズ第5作(長篇)  読み終わってしまったのが、残念でなりません。また、最初から読み直そうかな。 久しぶりに迫力のある警察捜査小説にまた出会うことができました。捜査もののミステリが好きな人には絶対にお薦めの作品です。 マイクル・コナリーの刑事ハリー・ボッシュ シリーズと肩を並べる心に残る警察小説 こちらには無能でいやな上司は出てこないし、み…

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怪盗タナーは眠らない/ローレンス・ブロック/創元推理文庫(2007.6.22発行)

闘うベストテン2007(ミステリチャンネル)海外ミステリ第10位 1966年に書かれた本書 今年のベストテンものには古い作品が多いのが特徴ですね。 脳に損傷を受けたため、眠ることができなくなったエヴァン・タナー  その時間を利用して語学や歴史の学習に入れ込み、世界中のさまざまな団体に所属して知的好奇心を満足させていました。大量のアルメニア金貨がトルコ領内に埋もれているとの情報を得て—– ジョ…

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ジョン・ディクソン・カーを読んだ男/ウィリアム・ブリテン/論創海外ミステリ(2007.9.5発行)

2008本格ミステリ・ベスト10海外(原書房)(2007)第5位 ミステリーへの深い愛情と鮮やかな謎解き・あふれるユーモアで贈る「?を読んだ?」シリーズ全11篇外に3篇を加えた計14篇の短編集です。 電車の中で読むのに適したミステリファンにとって心から楽しめる短編集です。 ウィリアム・ブリテンはニューヨーク・ロチェスター生まれ 長い間教師の職に 64年にミステリ作家デビュー このミステリーがすごい…

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夜愁(上)(下)/サラ・ウォーターズ/創元推理文庫(2007.5.31発行)

これがあの『荊の城』と『半身』を描いたサラ・ウォーターズとは ミステリファンとしては軽いショックを受けました。ミステリとしては本当に期待はずれの作品 (小説として読めば面白い作品ですが) 4年ぶりの作品 第4作目の長編小説 日本の高村薫と同じようにある特定の作品だけの人だったのだろうか。サラ・ウォーターズはでもすばらしかったのに なのにベストテンものには4つランクイン よく分からない 特にこの作…

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双生児/クリストファー・プリースト/早川書房(2007.4.20発行)

2007年週刊文春ミステリベスト10(海外)第4位 歴史ノンフィクション作家のグラッドは第2次世界大戦中に活躍したある大尉の情報を求めていた。あまりに矛盾する内容があるからだった—- 舞台は第2次世界大戦中のイングランドとドイツ ナチスの副総統ルドルフ・ヘスに関する正確な歴史の知識が必要です。 面白かったのであっという間に読んでしまいましたが、正直なところ作者の意図を正確に理解できたのかよく分…

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ハリウッド警察25時/ジョゼフ・ウォンボー/ハヤカワ・ミステリ(2007.8.15発行)

2007週刊文春ミステリベスト10(海外)第9位 表題の通りハリウッド警察の警察官たちの24時間を追って、語られる警察官たちの物語。 著者のジョゼフ・ウォンボー(1937年ピッツバーク生まれ)は、1974年までロサンゼルス市警の警察官だった 彼の作品が日本で紹介されてからなんと11年ぶりの本書 良い作者のものが見直されているのはミステリファンにとっていいことですね。 警察官たちに対する愛情があふれ…

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悪魔はすぐそこに/D.M.ディヴァイン/東京創元社(2007.9.28発行)

2008本格ミステリ・ベスト10海外(原書房)(2007)第2位 ハードゲート大学の講師ピーターは亡父の友人ハクストン博士から、横領の容疑で免職の危機にあると、助けを求められる。博士は、大学の理事会の審問の場で、私を処分するなら過去の事件の真相を暴露すると発言するが—– 「英国探偵小説の実力派が送る傑作」と紹介されている。原題は「Devil at Your Elbow」 邦訳『こわされた少年…

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異人館/レジナルド・ヒル/ハヤカワ・ミステリ(2007.1.10)

このミステリーがすごい!2008年版(2007年)ベスト20宝島社<海外>第17位 過去の歴史を求めて、イングランド北西部の小さな村を訪れた、オーストラリアからやってきた若い赤髪の女性数学者と、スペインからやってきた歴史を研究中の若者とが、導かれるように同じパブ兼旅籠屋(異人館)に宿泊し、自分のルーツに関わる謎をとくミステリ 訳者あとがきのなかで「レジナルド・ヒルの書くミステリは人間が生きていく…

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切り裂かれたミンクコート事件/ジェームズ・アンダースン/扶桑社ミステリー(2006.1.30)

2008本格ミステリ・ベスト10海外(原書房)(2007)第4位 ユーモアたっぷりの明るいミステリ ちょっと迷いましたが、ユーモアミステリに分類しました 第1作の『血染めのエッグ・コージイ事件』と舞台も同じ第12代バーフォード伯爵の所有する「オールダリー荘」 様々なゲストが次々と(予約なしに)到着して、事件の幕が切って落とされます。 1981年に刊行された本書 復刊ものです。なお、22年ぶりに第3…

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病める狐(上)(下)/ミネット・ウォルターズ/創元推理文庫(2007.7.27発行)

ミステリが読みたい2008年版ベスト・ミステリ2007(早川書房)第5位 舞台は、イングランド南西部の寒村 原題は「FOX EVIL」 2003年英国推理作家協会(Crime Writers’ Association = CWA)ゴールド・ダガー(フィクション)/最優秀長篇賞(THE GOLD DAGGER)受賞作品 旧家の財産相続問題と流れ者(トラヴェラー)の一団による土地の不法占拠問題に周り…