海外ミステリの本棚

海外ミステリの本棚では、翻訳されたミステリー最新刊を中心にベストセラーも含め実際に読んだ感想・書評 カテゴリー/おすすめを紹介。 独自のジャンル分けや各種ベストテンランキング該当かなども掲載しています。読書頻度は1週間に1,2冊ですが、10年で1000冊を超えました。最新のミステリ情報をこちらからどうぞ。

*

悲しみのイレーヌ/ピエール・ルメートル/文春文庫(2015.10.15発行)

      2016/03/05


☆2015年週刊文春ミステリーベスト10 (海外)第1位
☆このミステリーがすごい!2016年版(2015年)ベスト20宝島社第2位
☆本格ミステリ・ベスト10海外2016探偵小説研究会(原書房)(2015年)第7位

母親の喫煙による影響で身長が145センチのカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズの第1作

日本ミステリ界に衝撃を与えたピエール・ルメートルのデビュー作品

二人の若い女性が首を切られ、壁に釘で打ちつけられたなどバラバラな血染めの状態で発見される。壁には≪私は戻った≫という巨大な血染めのメッセージが書かれており、血文字の最後には丁寧に押し付けられた指紋が残っていた—


<カミーユ・ヴェルーヴェン警部の部下たちの紹介>
ルイ・マリアーニ:由緒正しい資産家の息子で大学では法律・経済・美術史・美学・心理学を専攻。

アルマン:「警察史上最悪の守銭奴」どけちだが、几帳面な仕事をする犯罪捜査の補佐役として彼の右に出るものはいない。

ジャン=クロード・マレヴァル:浪費家。柔道の国内ジュニアチャンピオンだったころの体型をいまだ維持。節制を知らず、魅力も、女も、自分の体も乱用している。

本書で抗議したいのは邦題です。この邦題はあまりにも配慮に欠けていたと思います。

Amazonレビューの方もほとんどが邦題を批判しています。充分に考慮して作ったのでしょうが、これだけ批判を浴びたことを心すべきです。「本書で不満なのは邦題です。原題は『Travail soigné(丁寧な仕事)』で、原題のほうが、戦慄すべき犯人像をより適格に表していますので、邦訳はひねりが欲しかったです。」と。

今からこの作家の本を手に取る方は原書の発行年代順にお読みください。

シリーズは第5作まで発表されており、一日も早い翻訳をぜひともお願いいたします。

2015年10月15日文春文庫より発行 原題は「Travail soigné」(2006)
<カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ>
第1作『悲しみのイレーヌ』本書
第2作『その女アレックス』原題は「Alex」(2011)
第3作『Les Grands Moyens』(2011)
第4作『Sacrifices』(2012)
第5作『Rosy & John』(2013)

<ピエール・ルメートルのその他の作品>
死のドレスを花婿に』(2009)
天国でまた会おう』(2013)

 - 2015年, 2016(2015年), 2016年版(2015年), 男性刑事(捜査官)もの, 評価: ☆☆☆☆☆