評価

2010年

エアーズ家の没落(上)(下)/サラ・ウォーターズ/創元推理文庫(2010.9.24発行)

☆2010年週刊文春ミステリベスト10(海外)第7位 ☆このミステリーがすごい!2011年版(2010年)ベスト20宝島社第7位 その人の読み方によって小説のジャンルさえ変わってしまう作品 ホラー小説?恐怖小説?サイコロジカル・スリラー?ミステリ? これだけ悩ませる小説を書けるなら、もっとすっきりとするミステリを書いてほしいと思うのは私だけでしょうか。 2010年9月24日創元推理文庫より発行 原...
女性刑事(捜査官)もの

恐るべき恋人たち 心理探偵フィッツ2/モリー・ブラウン/二見書房(1996.10.25発行)

愛すべきフィッツ探偵 あなたは全く変わっていませんね。 その頭脳を愛している家族に向けたらと思わずにはいられません。 このシリーズはテレビドラマの方が人気になって、むしろ後から本が発行されたのでしょうか。 原作者まで変わっているのはそうとしか推測できません。 それにしても面白くて、2作だけで終わってしまったのが残念で仕方がありません。 テレビではわからない心理描写のすばらしさが作品の核となっていま...
冒険アクションもの

脱出山脈/トマス・W・ヤング/ハヤカワ文庫(2011.1.15発行)

著者あとがきで「アフガニスタンの上空を飛行したとき、最も恐怖を覚えてのは撃墜されて死ぬことではなかった。それは撃墜されて、死なずにいることだった」と書いています。 アフガニスタンの反政府軍支配下の高山地帯から脱出行。 一気に読めましたが、冷静に考えると全く納得のいかないことばかり。 無線機を使用して敵に所在を知られ襲撃を受ける過ちを2回も繰り返す。 空軍の少佐が地上戦の経験がないことをさんざん指摘...
ノワールもの

殺す警官/サイモン・カーニック/新潮文庫(2003.9.1発行)

☆2003年バリー賞(THE BARRY AWARDS)最優秀英国ミステリ賞(BEST BRITISH CRIME NOVEL)候補作品 この本がデビュー作品(2002年) 主人公デニス・ミルンは、ロンドン警視庁の現職巡査部長で殺し屋という裏の家業を持っている。 標的は凶悪な悪人だけだが、今回の依頼で三人を倒したとき、三人目の男の表情にふと疑惑が。 こんな仕打ちは受けるいわれがないと途方に暮れてい...
女性検事もの

虚偽証人(上)(下)/リザ・スコットライン/扶桑社ミステリー(2010.11.10発行)

2004年から翻訳が途絶えていたリザ・スコットラインの法廷ミステリが還ってきました。 久しぶりの作品に読む手が震えました。 2005年に発表された彼女の長編第12作目の作品 冒険アクションものに分類しようかと思うほどの行動で正義のために突き進む連邦検察局の女性検事補ヴィッキ・アレグレッティが主人公 これを読んで力を得て、みんなで世の中を明るくしたいものです。 2010年11月10日扶桑社ミステリー...
男性検死官(解剖学者・法人類学者・科学者等)もの

騙す骨/アーロン・エルキンズ/ハヤカワ文庫(2010.11.20発行)

骨を手がかりに謎を解く"スケルトン探偵"人類学教授ギデオン・オリヴァー シリーズ第16作(日本語版としては第15作) 旅行記とグルメの紹介をかねたミステリ 妻ジュリーのいとこが経営するメキシコの田舎にある滞在型リゾート<エンカンターダ農場>を訪れた二人を待っていたのは、いつものように骨(?)---- アマゾンのレビューに「定型化されたシリーズなのでたいへん安心して読み進められる」とありますが、1作...
2010年

フランキー・マシーンの冬(上)(下)/ドン・ウィンズロウ/角川文庫(2010.9.25発行)

☆このミステリーがすごい!2011年版(2010年)ベスト20宝島社第4位 ☆2010年週刊文春ミステリベスト10(海外)第9位 ドン・ウィンズロウの10作目の邦訳作品 62歳の元マフィアの殺し屋で料理を作ることとサーフィンが好きで、レストランには新鮮な魚を卸し、釣り餌店も経営する、地域に社会に愛されているマシアーノ・フランクが主人公 平穏だった生活がある日一変する--- 一気に読み切ってしまう面...
評価: ☆☆☆☆☆

人形遣いと絞首台/アラン・ブラッドリー/創元推理文庫(2010.12.17発行)

11歳の科学なかでも毒の研究が何より好きな女の子フレーヴィア・ド・レースのシリーズ第2作 科学が大好きな少女の大活躍。 第1作よりもはるかに面白かった。 ちょっと気になるのは、主人公フレーヴィアの思考が11歳の女の子から急に離れて作者の大人の思考になっていると感じるところが多いこと。 わざとかもしれないけれど、読んでいて急に11歳の少女に戻ったと思うところがある。 でも第3作が待たれます!!! 2...
2010国内外ミステリ

ファージング Ⅲ バッキンガムの光芒/ジョー・ウォルトン/創元推理文庫(2010.8.31発行)

あまりに面白うミステリに出会うと、先を読みたい気持ちと読まずにいつまでもとっておきたいという気持ちとがせめぎ合ってたいへんです。 そんなことになった久しぶりのミステリ。 3部作を驚異的な短さで翻訳発行された東京創元社さんにも敬意を表します。 必ず第1作からお読みください。 ソ連がドイツの原子爆弾によって敗北し、日本とドイツがソ連を分割統治しているという歴史改変ミステリ。 第1作から約10年後の19...
「もしもの世界」でのミステリ(SFミステリ)もの

オーロラの魔獣/リンカーン・チャイルド/武田ランダムハウスジャパン(2010.11.10発行)

アラスカ北東部の元アメリカ軍事基地を拠点に地球温暖化の影響を調べていた北マサチューセッツ大学の4人の科学者からなる調査隊は、氷山の崩壊により洞窟を目の前にした--- 邦題は本の内容を考えると工夫がほしかったと思う。原題は「Terminal Freeze」 映画化したら面白いかも。 シベリアで発見されたマンモスの遺骸がどうして捕食者に食べられることなく冷凍されたのかはよくわかっていないそうです。 2...
女性私立探偵もの

バセンジーは哀しみの犬/キャロル・リーア・ベンジャミン/創元推理文庫(2010.4.30発行)

☆1997年シェイマス賞(SHAMUS AWARDS)最優秀処女長篇賞(BEST FIRST P.I. NOVEL)受賞作品 主人公はユダヤ人女性の私立探偵レイチェル・アレグザンダー パートナーは、アメリカン・スタッファードシャー・テリア(闘犬)のダシール 無一文の彼女に友人を殺害した犯人を捜してほしいとの依頼が入った---- 犬に詳しくないので、犬の種類なのか人の名前なのかわからなくて混乱しまし...
ロサンゼルス市警刑事ハリー・ボッシュ シリーズ 

死角 オーバールック/マイクル・コナリー/講談社文庫(2010.12.15発行)

ロサンゼルスの展望台。後頭部に二発銃弾を撃ち込まれた男性の死体が発見された--- 待ちに待っていたハリー・ボッシュ シリーズ第13作 こんなにがっかりしたのは初めてです。 雑でいい加減な構成 初めから結末がわかってしまうまるで水戸黄門のような物語 同じことの繰り返し 犯人の動機もその後の行動を考えると納得できないし、犯罪証拠別件の処分方法ときたら、まったくずさんであり得ません。 マイクル・コナリー...
評価: ☆☆☆☆☆

ブラックランズ/べリンダ・バウアー/小学館文庫(2010.10.11発行)

☆2010年英国推理作家協会(Crime Writers' Association = CWA)ゴールド・ダガー/最優秀長篇賞受賞作品  ─Belinda Bauer wins the CWA Gold Dagger 2010 著者が原書あとがきでこのように述べているそうです。 「"もし私が、わが子を殺された女性の孫だったなら、そのことは私にどんな影響を与えるだろう、私はどんな人生を送るだろう"と...
男性弁護士もの

兄の殺人者/D・M・ディヴァイン/創元推理文庫(2010.5.28発行)

日本で出版されると必ず日本のベストテンものに複数ランクインする作家の伝説的(?)デビュー作 1961年に出版されたこの作品にミステリの女王アガサ・クリスティーが「最後の最後まで楽しんで読めた」と 弁護士事務所の共同経営者である兄オリバーからいつものように事務所に呼び戻されたサイモンを待っていたのは深い霧の夜だった。 やっとのことで事務所にたどり着くと--- 2010年5月28日創元推理文庫より発行...
猫や犬が活躍するミステリ

ぼくの名はチェット 名犬チェットと探偵バーニー1/スペンサー・クイン/東京創元社(2010.5.31発行)

犬の観点から語られる私立探偵ミステリ ミステリとしても面白い。 賢いけれどスーパーわんちゃんではないチェットと飼い主のバーニーとの間にはテレパシー会話などない。 食べ物の誘惑や仲間の声にすぐ気を取られちゃうし、人間の言葉はだいたいしかわからない。 意思を伝えようにも吠えることしかできない。 犬好きの人もそうでない人も犬の立場に立って考えるいいチャンスになるかも。 赤ちゃん言葉で犬に話しかけている近...