災いの黒衣/アン・ペリー/創元推理文庫(1999.10.22 発行)
スコットランド・ヤードの警部<ウィリアム・モンク>シリーズの第2作
舞台は19世紀半ば、クリミア戦争「(1853-1856年)は黒海沿岸の覇権をかけて、ロシアとオスマン・トルコ、さらにトルコを支援するフランスやイギリスなどヨーロッパ諸国の間で起こった戦争」が終わった直後の英国。
今回モンクが捜査を命じられるのは、高名な貴族の屋敷で令嬢が強盗に刺殺された事件。
事件を究明するにつれ、屋敷には外部から誰も侵入した可能性がないことがあきらかになって—
記憶が時々少しずつ蘇りながら、部下のジョン・エヴァンと捜査を続けるモンク。
このシリーズに欠かせないやり手の弁護士オリヴァー・ラスボーンも登場して、法廷ミステリの面もちょこっと加味されます。
また、へスター看護師もモンクの捜査を手伝うことになり、モンクとの衝突も読む人を飽きさせません。
この時代女性が自発性を発揮することは、自然に反して間違っているとされとんでもないことだったと書かれています。
本国では既に第20作まで刊行されています。
1999年10 月22 日創元推理文庫より発行 原題は「A DANGEROUS MOURNING 」(1991)
<ウィリアム・モンク>シリーズ
第1作『見知らぬ顔』
第2作『災いの黒衣』
第3作『護りと裏切り』
第5作『偽証裁判』※第4作は翻訳されていません。
作家紹介 アン・ペリー イギリスの人気作家 二つのシリーズで有名
①モンクシリーズ 舞台は19世紀半ば
②トーマス・ピット警部シリーズ 舞台は19世紀後半
15歳のときに、友人と共謀して友人の母親を殺害。殺人罪で起訴され、無期懲役刑に。
21歳まで5年半服役。2度とその友人と会わないという条件で釈放。このときの事件は映画化され日本でも「乙女の祈り」として上映された。
イギリスに渡りミステリ作家として成功。
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歴史ミステリもの, 男性刑事(捜査官)もの, 評価: ☆☆☆☆☆