海外ミステリの本棚

海外ミステリの本棚では、翻訳されたミステリー最新刊を中心にベストセラーも含め実際に読んだ感想・書評 カテゴリー/おすすめを紹介。 独自のジャンル分けや各種ベストテンランキング該当かなども掲載しています。読書頻度は1週間に1,2冊ですが、10年で1000冊を超えました。最新のミステリ情報をこちらからどうぞ。

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天使のゲーム(上)(下)/カルロス・ルイス・サフォン/集英社文庫(2012.7.25発行)

      2015/12/21



☆2012年文庫翻訳ミステリーベスト10(講談社文庫)第2位

前作の世界的ベストセラー『風の影』から6年の歳月を経てやっと出された、”忘れられた本の墓場”のシリーズ第2作

前作があまりにすばらしかったために、肩すかしをくらった感じが強く、納得できないところがある。
ファンタジーなのか、超常現象をどうとらえるのかわかりにくく、解説を読まないとわからないのでは前作のようなヒット作にはならないと思う。

舞台は前作の1945年より遡った1917年のバルセロナ

新聞社で雑用を務める17歳のダビッドは、バルセロナきっての富豪一族の御曹司ペドロ・ビダルの擁護を受け『産業の声』日曜版に短編を書くチャンスを与えられ、作家への道を歩き出す。

新聞社から独立したダビッドは旧市街(ゴシック地区)にある20年間誰も住もうとしなかったいわく付きの「塔の館」に移り、作家に専念する。1928年、フランスの編集者アンドレアス・コレッリから法外の報酬と望むものを与えるというオファーを受けたダビッドを待っていたのは——

本文からの抜粋   戦争の本質を鋭く突いた言葉
戦争は、ふたをあければ、戦争を引き起こすまえから権力三昧だった連中が、さらに力をもつためのものでしかなかった

本シリーズは全4部作で、第3作は2011年にスペインで発表。翻訳はまた6年後でしょうか。

2012年7月25日ハヤカワ文庫より発行 原題は「EL JUEGO DEL ANGEL」(2008)
<バルセロナの歴史>
「この物語のあとに、1931年の共和政宣言、1934年の中央政府に対するカタルーニャ自治政府の反乱、1936年~39年のスペイン内戦、1939年のフランコ占領と、バルセロナ市民は最悪の時を迎えることになる」amazonのレビューから

<忘れられた本の墓場シリーズ 4部作>
第1部 風の影〈上〉〈下〉
☆2006年文庫翻訳ミステリーベスト10(講談社文庫 IN POCKET)第1位
☆2006年週刊文春ミステリベスト10(海外)第2位
☆闘うベストテン2006(ミステリチャンネル)海外ミステリ第2位
☆このミステリーがすごい!2007年度版(2006年)ベスト20宝島社<海外>第4位

 - 2012年文庫, 「もしもの世界」でのミステリ(SFミステリ)もの, ジャーナリスト(新聞記者・雑誌編集者)もの, 歴史ミステリもの, 評価: ☆☆☆, 霊的なものや原住民の知恵を授かるミステリ