デビルス・ピーク/デオン・マイヤーチ/集英社文庫(2014.11.25発行)
南アフリカの1958年生まれのミステリ作家の作品
作家の堂場瞬一さんが本年度の第7位に推薦した作品(ハヤカワミステリマガジンより)
☆2010年マルティン・ペック賞(スウェーデン推理作家アカデミーが優れた翻訳推理小説に与える文学賞)受賞作品
この物語は三人の人物によって語られていき、最後に交差してまた分かれていく構成をとる。
最初の一人は、3歳の娘を持つ高級娼婦のクリスティーン・ファン・ロイヤン。牧師の告白する形で自分の物語を語り始める。
二人目は、強盗事件に巻き込まれ8歳の息子を失った防諜活動の訓練を受けた元軍人で黒人のトベラ・ムパィフェリ。
最後の一人は、アルコール依存症の南アフリカ警察の警部補ベニー・グルーセル。二人の子供がいるが、酒のために妻に暴力を振るうなどしたため、家族を失いかけている。
この三人の生き様を力強く伝えるミステリ。
三人がどう交差していくかは読んでからのお楽しみです。
なお、訳者あとがきに「アフリカには、病気は体の穢れを意味し、清らかな体の処女と交わることによって癒えるという迷信がある。そのため、エイズのかかった男が、生後一年にも満たない幼児に性的暴行を加えるというような事件すら少なからず起こっている。」とあります。
2014年11月25日集英社文庫より発行 原題は「Devil’s Peak(悪魔の峰※)」
※南アフリカ第二の都市ケープタウンを囲むように立つ山の一つ。
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