海外ミステリの本棚

海外ミステリの本棚では、翻訳されたミステリー最新刊を中心にベストセラーも含め実際に読んだ感想・書評 カテゴリー/おすすめを紹介。 独自のジャンル分けや各種ベストテンランキング該当かなども掲載しています。読書頻度は1週間に1,2冊ですが、10年で1000冊を超えました。最新のミステリ情報をこちらからどうぞ。

*

霧のとばり/ローズ・コナーズ/二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション(2005.1.20発行)

   

本書は2003年MWAメアリ・ヒギンス・クラーク賞を受賞 リーガルサスペンスの新星として一躍注目を集めました。
舞台はケープコッドの町。この場所について詳細を知りたい方はアメリカの国立公園ケープコッド海浜公園を参照してください。女性検事補マーティ・ニッカーソンが主人公です。
最近読んだなかでは最高の作品だと思います。
法廷ミステリーとしてすばらしいだけでなく、犯罪被害者の立場もきちんと捉えている希有の作品です。人間に対する限りない愛情が作品にあふれています。「人を殺す無かれ」という命題を読むだけでわからせてくれます。
涙なしには読めないので、電車の中で読むことはお薦めできません。
作品の中で7歳の息子が主人公の母親に2人で雪嵐を乗り切ったときに言った言葉を贈ります。「ママ、ぼくはいつだってママを助けてあげる。これからもずっとママを愛している。いま言ったふたつのことは、いつまでも変わらないよ」
既にマーティ・ニッカーソンを主人公にした第2作・第3作が発表されています。日本での少しでも早い翻訳を楽しみに待っています。
ローズ・コナーズは、フィラデルフィア出身 デューク大学のロースクールを卒業後検察官・弁護士として18年にわたり法曹界で活躍。本書がデビュー作。
2005年1月20日二見書房より発行

 - リーガル(法律・法廷)サスペンスもの, 女性検事もの, 評価: ☆☆☆☆☆