海外ミステリの本棚

海外ミステリの本棚では、翻訳されたミステリー最新刊を中心にベストセラーも含め実際に読んだ感想・書評 カテゴリー/おすすめを紹介。 独自のジャンル分けや各種ベストテンランキング該当かなども掲載しています。読書頻度は1週間に1,2冊ですが、10年で1000冊を超えました。最新のミステリ情報をこちらからどうぞ。

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「 ノワールもの 」 一覧

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娼婦レナータ/ヴィッキー・ヘンドリックス/ランダムハウス講談社(2008.11.10発行)

2008年度MWA(アメリカ探偵作家クラブ)最優秀ペーパーバック賞ノミネート作品 異色のエロチック・クライムノベルと紹介されています。電車のなかでは読みにくい内容がとても多い作品です。 男性はとことんこけにされているかも。 原題は「CRUEL POETRY」(残酷な)(作詩・詩) マイアミ・ノワールの女王と称される女流作家の長編第5作 デビュー作『マイアミ・ピュリティ』以来の邦訳 このデビュー作は…

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ホワイト・シャドウ/エース・アトキンス/ランダムハウス講談社(2008.8.10発行)

舞台は1955年フロリダのタンパ(Tampa )  マフィアのボスで引退していたチャーリー・ウォールが殺害された— 一人称の語り手がいっぱい登場する小説で、いま誰が語っているのかはっきり言ってわかりにく、訳者までが読者の判断に任せますと匙を投げている始末(?) キューバ革命前のキューバとアメリカとの関係が少しだけ垣間見えます。 2008年8月10日ランダムハウス講談社より発行 …

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掠奪の群れ/ジェイムズ・カルロス・ブレイク/文春文庫(2008.9.10発行)

主人公は1930年代に銀行ギャングとして実在したハリー・ピアントと彼の仲間たちと家族 銀行強盗と刑務所からの脱獄を繰り返す 本書はジェイムズ・カルロス・ブレイクの第8長編 待望の邦訳第3作目 第6長編『無頼の掟』(2005.1) 第7長篇の『荒ぶる血』(2006.4)は、いずれも各ミステリベストテン入り いつの間にかギャングたちを応援してしまいました。本作もまたベストテン入りするのでしょうか。 2…

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聞いてないとは言わせない/ジェイムズ・リーズナー/ハヤカワ文庫(2008.6.15発行)

テキサスの片田舎にヒッチハイクでやってきた青年トビーは、1人で農園を切り盛りしているグレースに雇われて住み込みで働き始めるが—- 「疾風怒涛の大傑作」と紹介されています。 ミステリが読みたい2009年版 ベスト・ミステリ2008(早川書房)第13位 めまぐるしい展開、展開の速さに休む暇がありません。読み始めたら本当に止められません。 作者は本書が本邦初紹介となる2007年の作品 奥さんはミステ…

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死者の部屋/フランク・ティリエ/新潮文庫(2008.5.1発行)

2005年フランス国鉄ミステリ大賞受賞 毎年リヨンで開催されるミステリ祭の中で授与される「ポラール河岸大賞」も受賞 プロファイリングを無二の趣味とする産休明けの女性巡査長リューシー・エヌベルが主人公 彼女の推理と活躍をお楽しみ下さい。 フランスでは早くも映画化され、2008年3月に日本で開催された「フランス映画祭2008」に出品され上映されました。 失業中のヴィゴとシルヴァンは誤って見知らぬ男を…

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無頼の掟/ジェイムズ・カルロス・ブレイク/文春文庫(2005.1.10発行)

このミステリーがすごい!2006年版(2005年)宝島社第3位 舞台は1920年代のルイジアナ 叔父たちと銀行を襲ったソニーは失敗して一人逮捕されてしまう——– 解説者は「犯罪小説、西部小説、悪漢小説、教養小説、青春小説、そして恋愛小説」と本書を紹介しています。 本当にいろいろな要素が入り交じった小説で、楽しめること保証いたします。あっという間に読み切ってしまいました。 本書はジェイムズ…

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七匹の蛾が鳴く/フランク・ティリエ/ランダムハウス講談社(2008.4.10発行)

パリ警視庁のフランク・シャルコ警視シリーズ第2作 パリ郊外の教会の中で、体毛をすべて剃られた全裸の女性が発見された。目立った外傷はなく、頭部には何故か七匹の蛾が—— この人の作品には本当に驚かされます。一度是非お試し下さい。但し、第1作『タルタロスの審問官』からお読み下さい。 女性警部補リュシー・エヌベルが活躍するシリーズでも好評を博しているそうです。是非こちらのシリーズも翻訳をお願いいた…

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嘘つき男は地獄へ堕ちろ/ジェイソン・スター/ヴィレッジブックス(ソニーマガジンズ)(2004.6.20発行)

闘うベストテン2004(ミステリチャンネル) 海外ミステリ次点(第11位) どんな結末が待っているのか、いろいろと考えることができてとても楽しめました。 もちろんこんな結末は予想していませんでしたが。 この作家の作品は訳者によれば二つの系列があり、ひとつはエリートサラリーマンの転落物・もうひとつはギャンブルのめり込み物 本書は二つの系列を組み合わせて物語が出来上がっていますとのことです。 デビュー…

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タルタロスの審問官/フランク・ティリエ/ランダムハウス講談社(2007.9.1発行)

2004年度フランス国鉄推理小説賞の最終候補作 本書はデビュー作 主人公はパリ警視庁のフランク・シャルコ警視 警視に入れ込んでしまうことを止めることは出来ません。また必読の警部シリーズが一つ追加されました。 2008年4月10日に続編の『七匹の蛾が鳴く』が発行されています。 訳者あとがきで「ネット上で一般読者が採点するお薦め度が軒並み5つ星であることからも人気の度合いが知れる」とあります。 何故日…

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荒ぶる血/ジェイムズ・カルロス・ブレイク/文春文庫(2006.4.10発行)

このミステリーがすごい!2007年版(2006年)ベスト20宝島社第3位 2006年週刊文春ミステリベスト10(海外)第10位 本書はジェイムズ・カルロス・ブレイクの第7長編 掛け値なしにおもしろい!!! 1913年のメキシコから物語は始まり、1936年が舞台となっている時代物ミステリー。 評価が高いのも頷ける作品です。 2006年4月10日文春文庫より発行 …

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死者を侮るなかれ/ボストン テラン/文春文庫(2003.9.10発行)

本の裏表紙に「名作『神は銃弾』の暴力の詩人が放つ崇高な暴力小説」と紹介されています。 この作者の作品を読んだことがあればそれほどのショックは受けないと思います。 『神は銃弾』を先に読まれてから本書を読んだ方が良いと思います。 母と子の複雑で屈折したかっとうを描いたミステリーです。 表現が独特で訳者の方もどんなにか苦労されたことでしょう。ご苦労様です。 2003年9月10日文春文庫より発行 第1長編…