海外ミステリの本棚

海外ミステリの本棚では、翻訳されたミステリー最新刊を中心にベストセラーも含め実際に読んだ感想・書評 カテゴリー/おすすめを紹介。 独自のジャンル分けや各種ベストテンランキング該当かなども掲載しています。読書頻度は1週間に1,2冊ですが、10年で1000冊を超えました。最新のミステリ情報をこちらからどうぞ。

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「 ノワールもの 」 一覧

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殺す警官/サイモン・カーニック/新潮文庫(2003.9.1発行)

☆2003年バリー賞(THE BARRY AWARDS)最優秀英国ミステリ賞(BEST BRITISH CRIME NOVEL)候補作品 この本がデビュー作品(2002年) 主人公デニス・ミルンは、ロンドン警視庁の現職巡査部長で殺し屋という裏の家業を持っている。 標的は凶悪な悪人だけだが、今回の依頼で三人を倒したとき、三人目の男の表情にふと疑惑が。 こんな仕打ちは受けるいわれがないと途方に暮れてい…

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デクスター 夜の観察者/ジェフ・リンジー/ヴィレッジブックス(2010.10.20発行)

衝撃の海外ドラマ「デクスター」原作第3弾 ダークヒーローのデクスターが悩んでいる。 カモフラージュのためつきあっていたリタと思わぬ誤解から婚約することになり、結婚式にまっしぐら リタの二人の連れ子アスターとコーディーにはデクスターの特別育児課程が必要で マイアミ大学の構内で首なし死体が見つかり、被害者の女子学生2人は全身を焼かれ、頭部のかわりに陶器の雄牛の頭が置かれていた事件の現場に駆けつけると …

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デクスター 闇に笑う月/ジェフ・リンジー/ヴィレッジブックス(2010.5.20発行)

衝撃の海外ドラマ「デクスター」原作第2弾 ファージングの3部作を一気に読むにはエネルギーが要ります。 少しユーモアのある作品に浸りたいと手に取りました。 人間の感情を一切を待たず、満月の夜には(?)悪人を狩る闇の仕掛け人デクスター 養父のハリーから授けられたルールを守りがんばろうとするデクスター 自分の気持ちの葛藤に変に悩むデクスターは何とも憎めません。 今回は救急隊員や警察官までもが二度と足を踏…

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ベルファストの12人の亡霊/スチュアート・ネヴィル/武田ランダムハウスジャパン(2010.8.10発行)

☆ミステリが読みたい2011年版(早川書房)第10位 ☆闘うベストテン2010(ミステリチャンネル)国内外ミステリ第10位 ☆このミステリーがすごい!2011年版(2010年)ベスト20宝島社第15位 ☆2010年アンソニー賞(ANTHONY AWARDS)最優秀処女長篇賞(BEST FIRST NOVEL)ノミネート作品 ※ファン、作家、出版業界関係者を集めて毎年秋に開催されるミステリ大会=バ…

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デクスター 幼き者への挽歌/ジェフ・リンジー/ヴィレッジブックス(2007.3.20発行)

☆2005年バリー賞(BARRY AWARDS)最優秀長篇賞(BEST NOVEL)ノミネート作品 ☆2005年マカヴィティ賞(MACAVITY AWARDS) 最優秀長篇賞(BEST NOVEL)ノミネート作品 なんと面白いヒーローの登場でしょうか!!! マイアミ警察の科学捜査研究所に勤務する血痕の専門家デクスター・モーガン 人間の感情を待たず、満月の夜には(?)悪人を狩る闇の仕掛け人 このユニ…

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音もなく少女は/ボストン・テラン/文春文庫(2010.8.10発行)

主人公はアパートの管理人の暴君の父と小さな工場で働く母クラリッサのもとに1951年に生まれた耳の聴こえない娘イヴ 途中で涙が止まらなくなる場面があります。 ボストン・テランの作品は、気軽に読むミステリではありません. しかし読んだ後に元気が沸いてきます。 自分よりも弱い者・弱い立場にある者に対する暴力や愚行は、社会全体でなんとしてもとめなければなりません。 虐待事件が相次ぐ日本の児童相談所の職員に…

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嘘をつく舌/アンドリュー・ウィルソン/ランダムハウス講談社(2009.11.10発行)

物語は、作家志望の青年アダム・ウッズが小説を書くためにロンドンを離れ、英語を教える職を得てヴェネツィアにやってきたところから始まる。 自己中心的な人間がどう考えて行動を起こすかが詳細に描かれて、少しばかり心が冷えていくミステリ ワシントン・ポスト紙は「ディケンズのゴシック風雰囲気と、ヒッチコックの緊迫感溢れる不気味さが見事に噛み合っている」と 本来は伝記作家の作者が送る、初めてのフィクション作品 …

バッド・モンキーズ

バッド・モンキーズ/マット・ラフ/文藝春秋(2009.10.10発行)

☆このミステリーがすごい!2010年版(2009年)ベスト20宝島社第4位 ☆2009年週刊文春ミステリベスト10(海外)第10位 ☆闘うベストテン2009(AXNミステリチャンネル)国内外ミステリ第8位 ☆ミステリが読みたい2011年版(早川書房)第16位 逮捕されたとき、ジェイン・シャーロットは刑事に犯罪と闘う秘密組織”バットモンキーズ”の一員だと伝えた—- 一気に読んでしまいました。痛…

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震え/ピーター・レナード/ランダムハウス講談社(2009.10.10発行)

アメリカが誇るミステリ界の大御所エルモア・レナードの息子のデビュー作品 夫を事故で亡くしたばかりのケイトと息子のマーク 悪人どもに狙われた二人の孤独な闘いをお楽しみください。 amazonなどのレビューを読むと「まるで映画を見ているよう」との感想が。 確かにスピーディーで速い展開のミステリで、登場人物も個性豊かで面白い。 原題は「QUIVER」震えるの意味ではなく、矢筒の矢と訳した方が本作に適して…

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ロード・キル/ジャック・ケッチャム/扶桑社ミステリ(1996.6.30発行)

殺人願望を持つバーテンダーのウェイン・ロックが殺害現場を目撃したとき—- 作家ジャック・ケッチャムについては 「鬼畜系”として知られるホラー作家」 「過激さと猟奇性では並ぶ者がいないと言われるアメリカの作家」等々紹介されています。 解説には「異常心理をテーマにした猟奇連続殺人ものミステリ」とあります。 1994年発表の第9作目(短編を入れて)の作品 今読むと、そんなに驚かない内容になっていると…

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死神を葬れ/ジョシュ・バゼル/新潮文庫(2009.8.1発行)

あのマイクル・コナリーも「この作品で私を吹き飛ばした」と絶賛したそうな。 物語は研修医のピーター・ブラウンが出勤途中にうなじに銃を押し付けられ、「騒ぐなよ、先生」と強盗に遭うところから始まる。 後はノンストップのノワールもの。 アメリカで医療にかかるのがとても怖くなります。何しろ現役の研修医さんが書いているのですから。 アメリカの書評には本書を「ベント・ノワ?ル」という分類にしているものもあるそう…

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弔いの炎/デレク・ニキータス/ハヤカワ文庫(2009.4.15発行)

2008年アメリカ探偵作家クラブ(The Mystery Writers of America =MWA)最優秀処女長篇賞ノミネート作品 主人公は16歳の誕生日が間近の女子高校生ルシア・モーバークと女刑事のグレダ・ハード(帯にはもう一人入れていたけど) 舞台はニューヨーク州郊外の町ロチェスター 訳者は「文学の香り高いサスペンス」と、出版社は「心理サスペンスの傑作」と紹介 やたらに体調の悪い人がです…

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弔いのイコン/ゲイリー・ヴァン・ハース/ランダムハウス講談社(2009.4.10発行)

主人公は元聖職者で画家で画廊の経営者でもあるガース・ハンセン 物語は主人公がフェンシング・サロンで500ドルを賭け、フェンシングの試合をするところから始まる。 ギリシャ・ミコノス島を舞台に繰り広げられる冒険ミステリ ギリシャに行ってみたくなりましたが、ミステリとしては動機も謎解きも不満足です。動機などたった一文で説明しているものさえあります。 あまりに多くの事件を起こし、消化不良を起こしています。…

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狼のゲーム/ブレント・ゲルフィ/ランダムハウス講談社(2009.1.10発行)

現在のロシアを舞台にした衝撃の作品 主人公はロシアン・マフィアで元特殊部隊隊員のアレクセイ・ヴォルコヴォイ(通称ヴァルク)と恋人のチェチェン人のヴァーリャ 強烈なラブストリーです(第2作を読まないと断定はできませんが)。 『チャイルド44』(トム・ロブ スミス)と同じような衝撃が読む人を襲います。 主人公たちがこれだけ痛めつけられる犯罪小説はありません。 書いたのがロシアの人ではないところもチャイ…

暗黒街の女

暗黒街の女/ミーガン・アボット/ハヤカワ・ミステリ(2008.11.10発行)

2008年MWA(アメリカ探偵作家クラブThe Mystery Writers of America )最優秀ペーパーバック賞受賞作品 2008年バリー賞(THE BARRY AWARDS)最優秀ペーパーバック賞受賞作品 ※バリー賞 熱心なミステリ・ファンで書評家の故バリー・ガードナーに由来する賞           (ミステリの専門季刊誌主催 スタッフと購読者の投票で決定する) 「あんな…