海外ミステリの本棚

海外ミステリの本棚では、翻訳されたミステリー最新刊を中心にベストセラーも含め実際に読んだ感想・書評 カテゴリー/おすすめを紹介。 独自のジャンル分けや各種ベストテンランキング該当かなども掲載しています。読書頻度は1週間に1,2冊ですが、10年で1000冊を超えました。最新のミステリ情報をこちらからどうぞ。

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「 ミステリが読みたい! (早川書房) 」 一覧

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スリーピング・ドール/ジェフリー・ディーヴァー/文藝春秋(2008.10.10発行)

本を途中で閉じて、ゆっくりと本の表紙をながめる。これからいったいどうなるのか。 先が楽しみで、なかなか新たに本を開けることができない。そんなミステリ。 物語は、主人公カルフォルニア州捜査局捜査官「キネシクス」分析の天才キャサリン・ダンスの尋問から始まった。  ※キネシクス ボディーランゲージ分析・人間の所作や表情を読み解いて相手の感情を推し量ること。 一家4人を惨殺した”マンソンの息子”の異名を…

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検死審問―インクエスト/パーシヴァル・ワイルド/創元推理文庫(2008.2.22発行)

江戸川乱歩が1947年8月に発表した「1935年以後のベストテン」に挙げられている作品 復刊もの この作品はかつて「検屍裁判―インクエスト」の訳題で刊行されていました(1951年) ☆2009本格ミステリ・ベスト10海外(原書房)(2008)第9位 ☆ミステリが読みたい2009年版 ベスト・ミステリ2008(早川書房)第15位 物語は検死官の仕事のやり方の説明から始まります。 時代を全く感じさせな…

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運命の日(上)(下)/デニス・ルヘイン/早川書房(2008.8.25発行)

物語は1918年ワールドシリーズで移動中のレッドソックスのベーブルースが、列車の事故で空いた時間に野原でやっていた黒人の野球試合に飛び入り参加するところから始まる。 ベーブルースがそこで見たものはとてつもない黒人選手たちの能力だった— ミステリが読みたい2009年版 ベスト・ミステリ2008(早川書房)第1位 スペイン風邪の大流行・ロシア革命の影響を受けたテロの頻発  そんな時代を背景に激し…

ロミオ ロバート・エリス

ロミオ/ロバート・エリス/ハヤカワ・ミステリ文庫(2008.7.15発行)

ミステリが読みたい2009年版 ベスト・ミステリ2008(早川書房)第8位 ベストテンに入ったから読んだのですが、ひさしぶりのニューヒロインの登場 本格警察小説 早川書房のベスト・ミステリもミステリファンの役に立った一例(と言っては怒られるかも) 主人公はロサンジェルス市警強盗殺人課の女性刑事リーナ・ギャンブル ロサンジェルス市郊外の邸内で妊娠したばかりの若い女性が惨殺された。現場は血の海で、頭に…

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ザ・ロード/コーマック・マッカーシー/早川書房(2008.6.25発行)

2007年度ピュリッツァー賞受賞 170万部を超える全米ベストセラー 映画化も決定 ピュリッツァー賞受賞から分かるようにミステリではなく、素晴らしい本格小説で、一気に読み切ってしまいました。 夢のなかにまでこの本が出てきました。是非お読み下さい。 訳者あとがきで 「主流派小説とSF小説のジャンルを横断した作品」 「幼い我が子が生きていく未来の世界を案じ、最悪の事態を想像しつつ希望の種を探して息子に…

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チャイルド44(上)(下)/トム・ロブ スミス/新潮文庫(2008.9.1発行)

物語は1933年スターリン統治下のウクライナの寒村で2人の幼い兄弟が食料として猫を捕まえるために森に入っていくところからはじまる。 このミステリーがすごい!2009年版(2008年)ベスト20宝島社 輝く!! 第1位 2008年週刊文春ミステリベスト10(海外)第2位 2008年文庫翻訳ミステリーベスト10(講談社文庫)第2位 闘うベストテン2008(ミステリチャンネル)海外ミステリ第3位 ミス…

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ブルー・ヘヴン/C.J.ボックス/ハヤカワ・ミステリ文庫(2008.8.25発行)

ミステリが読みたい2009年版 ベスト・ミステリ 2008(早川書房)第6位 12歳のアニーと弟のウイリアムは、母親に内緒で生まれて初めての釣りに出かけ殺人を目撃してしまう。銃を撃った3人の男たちからも見られてしまった— どうかどうかこの2人が何とか逃げられますようにと祈りながら、あっという間に読み切ってしまいました。 はらはらドキドキのミステリをあなたも是非お楽しみ下さい。 表題のブルー・ヘ…

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深海のYrr(イール)(上)(中)(下)/フランク・シェッツィング/ハヤカワ文庫(2008.4.25発行)

読み終えてしまうのがもったいなくて、下巻に入ってからは少しずつ大切に読んでいきました。あー、でもついに読み終わってしまいました。 そんなミステリです。是非お読み下さい!!!ドイツ語版ハードカバーでは1000ページ重さ1.1Kにもなった長編ですが、長さは感じません。 取材に4年を費やした本書(2004年発表)はドイツ国内だけで200万部を超すベストセラー ノルウェーの海底で蠢く大量のゴカイ カナダの…

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聞いてないとは言わせない/ジェイムズ・リーズナー/ハヤカワ文庫(2008.6.15発行)

テキサスの片田舎にヒッチハイクでやってきた青年トビーは、1人で農園を切り盛りしているグレースに雇われて住み込みで働き始めるが—- 「疾風怒涛の大傑作」と紹介されています。 ミステリが読みたい2009年版 ベスト・ミステリ2008(早川書房)第13位 めまぐるしい展開、展開の速さに休む暇がありません。読み始めたら本当に止められません。 作者は本書が本邦初紹介となる2007年の作品 奥さんはミステ…

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ミステリが読みたい2008年版ベスト・ミステリ2007(早川書房)

ベスト10の中に自社のものを6作品も選んでしまうから、他のベストテンものよりやや信頼されていないのかな。 ミステリが読みたい2008年版ベスト・ミステリ2007(早川書房) 第1位から第20位までの本の紹介です。 2007年11月22日早川書房より発行 第1位 『ロング・グッドバイ』/レイモンド・チャンドラー/早川書房 第2位 『再起』/ディック フランシス/早川書房 第3位 『狂人の部屋 ツイ…

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死の相続/セオドア・ロスコー/原書房ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ(2006.11.2発行)

2008本格ミステリ・ベスト10 海外 (原書房)(2007年)第3位 ミステリが読みたい2008年版 ベスト・ミステリ2007(早川書房)では第20位 <黄金時代の作家たち>というくくりのなかで紹介されているもの 作家のセオドア・ロスコーは1906?1992年  舞台は1930年代のハイチ 解説者は「他の追髄を許さないユニークな密室ミステリ・おそるべき怪作」と記していますが、SFものかと勘違いし…

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リヴァイアサン号殺人事件(ファンドーリンの捜査ファイル)/ボリス・アクーニン/岩波書店(2007.2.27発行)

2008本格ミステリ・ベスト10 海外 (原書房)(2007年)第8位 今ロシアで大人気の推理小説家ボリス・アクーニンの小説です。 日本文化に精通しているアクーニン(これもなんと日本語の悪人から考え出したペンネームだそうです)の2冊同時発行という思い切った企画に大いに賛同いたします。 舞台は20紀初頭。フランス・パリの郊外で豪邸の家主が撲殺され、使用人とその家族が子供を含めて 全員が殺されるという…

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路上の事件/ジョー・ゴアズ/扶桑社ミステリー(2007.7.30発行)

このミステリーがすごい!2008年版(2007年)ベスト20宝島社第6位 舞台はアメリカ1953年の夏 作家志望の主人公ビアス・ダンカンが貨物列車から飛び降りたところから物語が始まります。 次から次に起きる事件現れる多くの登場人物たち 目が廻ってしまいそうでした。 実際にサンフランシスコで12年にわたって私立探偵として活動したジョー・ゴアズの長篇作品リスト第13作目 <長篇作品> 翻訳されているも…

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物しか書けなかった物書き/ロバート・トゥーイ/河出書房新社(2007.2.10発行)

このミステリーがすごい!2008年版(2007年)ベスト20宝島社<海外>第4位 生涯短編一筋を貫いた短篇作家トゥーイの傑作14篇 表題の作品のようなSF的なものから、借金取りや警官を騙して喜ぶ男の馬鹿話や『階段はこわい』のような生涯の内に4度結婚して4度とも妻を事故で亡くした男の話など多種多様の作品が集まっています。 ミステリが読みたい2008年版 ベスト・ミステリ2007(早川書房)でも第14…

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終決者たち(上)(下)/マイクル・コナリー/講談社文庫(2007.9.14発行)

2007年文庫翻訳ミステリーベスト10(講談社文庫)第1位 待ちに待った刑事ハリー・ボッシュ シリーズ第11作 手元にあったのに読むのが待ったいなくてしばらく置いておりました。飾っておりました。 読み終わったときには自然に涙が出てきてしまいました。 ロサンゼルス市警・未解決事件(コールド・ケース)班の刑事に3年ぶりに復帰したボッシュ 相棒はキズミン・ライダー 天敵のアーヴィン・アーヴィングもま…