海外ミステリの本棚

海外ミステリの本棚では、翻訳されたミステリー最新刊を中心にベストセラーも含め実際に読んだ感想・書評 カテゴリー/おすすめを紹介。 独自のジャンル分けや各種ベストテンランキング該当かなども掲載しています。読書頻度は1週間に1,2冊ですが、10年で1000冊を超えました。最新のミステリ情報をこちらからどうぞ。

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「 評価: ☆☆☆ 」 一覧

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限りなき夏/クリストファー・プリースト/国書刊行会(2008.5.15発行)

闘うベストテン2008(ミステリチャンネル)海外ミステリ第5位 クリストファー・プリーストの日本オリジナルの短編8篇の作品集 <収録作品> 「限りなき夏」 「青ざめた逍遙」 「逃走」 「リアルタイム・ワールド」 「赤道の時」 「火葬」 「奇跡の石塚」 「ディスチャージ」 作者は”日本版への序文”のなかで、各作品の解説をつけています。SFものを読むには、わかりやすくて良い試みだと思いました。 例えば…

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遺伝子捜査官アレックス 復讐の傷痕/ローリー・アンドリューズ/ハヤカワ・ミステリ文庫(2008.11.25発行)

主人公は、軍人の父と反戦活動家の母をもち医師の資格を持つ遺伝学者アレクサンドラ・ブレークのシリーズ第2作 科学者が主人公のため、最近TVではやっている科学捜査の探求がメインと思っている方はちょっと肩すかしを受けます。 スパイもののような冒険アクション小説です。 彼女を中心に周りの登場人物もいろいろと魅力的です。 アメリカでは既に第3作も発表されているそうです。 2008年11月25日ハヤカワ・ミス…

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断たれた叫び/リンダ・フェアスタイン/早川書房(1999.6.15発行)

マンハッタンの性犯罪を扱う辣腕女性検事アレックス・クーパーを主人公とした第2作 ニューヨーク随一の規模を誇る総合病院ミッドーマンハッタン メディカル・センターで脳神経外科の女性教授が全身を刺され殺害された—- 彼女を見守る有能なニューヨーク市警の刑事たちと彼女を支える友人たちとで綴る検察官物語の第2弾 現役の法律家であるため、検察官が置かれている現実に即した色々な仕事の話が多くなってしまい、ミ…

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ホワイト・シャドウ/エース・アトキンス/ランダムハウス講談社(2008.8.10発行)

舞台は1955年フロリダのタンパ(Tampa )  マフィアのボスで引退していたチャーリー・ウォールが殺害された— 一人称の語り手がいっぱい登場する小説で、いま誰が語っているのかはっきり言ってわかりにく、訳者までが読者の判断に任せますと匙を投げている始末(?) キューバ革命前のキューバとアメリカとの関係が少しだけ垣間見えます。 2008年8月10日ランダムハウス講談社より発行 …

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遺伝子捜査官アレックス 殺意の連鎖/ローリー・アンドリューズ/ハヤカワ・ミステリ(2008.5.25発行)

主人公は、軍人の父と反戦活動家の母をもち、医師の資格を持つ遺伝学者アレクサンドラ・ブレーク 彼女の廻りを個性的で魅力的な脇役たちが固めます。 海軍基地の周辺で女性が惨殺される連続殺人事件の捜査に借り出されたアレックスは— ミステリとしては、説得性にいまいちかけるところがあるけれど、次作も読んでみたいと思います。 原題は「SEQUENCE」 ※数列 ここではアミノ酸配列分析・遺伝子分析の意かな …

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翡翠の眼/ダイアン・ウェイ・リャン/ランダムハウス講談社(2008.6.10発行)

私立探偵が合法化されていない中国・北京を舞台に女性第1号の私立探偵王梅(ワン・メイ)が活躍するシリーズ第1作 世界13カ国語に翻訳され話題を呼んだ。 2008年北京オリンピック開催の中国の実際の生活ぶりがとてもよく伝わってきます。本書の設定は、今から10年前というものですが、知られざる国、理解を超える国中国の一面を垣間見ることが出来ます。 中国の生活ぶりを伝えたい為にミステリの形をとって発表したの…

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聞いてないとは言わせない/ジェイムズ・リーズナー/ハヤカワ文庫(2008.6.15発行)

テキサスの片田舎にヒッチハイクでやってきた青年トビーは、1人で農園を切り盛りしているグレースに雇われて住み込みで働き始めるが—- 「疾風怒涛の大傑作」と紹介されています。 ミステリが読みたい2009年版 ベスト・ミステリ2008(早川書房)第13位 めまぐるしい展開、展開の速さに休む暇がありません。読み始めたら本当に止められません。 作者は本書が本邦初紹介となる2007年の作品 奥さんはミステ…

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無実(上)(下)/ジョン・グリシャム/ゴマ文庫(2008.3.15発行)

全米べストセラー作品 1982年オクラホマの小さな町で起こったウエイトレス強姦殺人事件の冤罪事件をとりあげたジョン・グリシャム初のノンフィクション グリシャムは今後フィクションの世界に専念することを表明したそうです。 あれだけのヒット作『評決のとき』『ザファーム』『ペリカン文書』等を世に生み出した作家の苦悩からノンフィクションの世界を覗いてみたのでしょうか。パトリシア・コーンウェルも同じことをして…

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聖者は口を閉ざす/リチャード・プライス/文藝春秋(2008.3.30発行)

  2008/07/27    評価: ☆☆☆

映画の脚本家として超一流(『ハスラー2』『「シー・オブ・ラブ』『恋に落ちたら』『クロッカーズ(原作も)』等世界的に大ヒットした映画も多い)の作家の邦訳4作目 「非行少年を救おうとした高校教師が襲撃された。口を閉ざす教師は誰を守っているのか? 米読書界が絶賛する感動大作。映画化予定」と紹介されています。 2段組で550ページと厚く重く、寝ながら読むには手が疲れます。 真面目に真剣に読む犯罪小説です。…

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カモミール・ティーは雨の日に お茶と探偵⑥/ローラ・チャイルズ/ランダムハウス講談社(2008.5.9発行)

世界中のおいしいお茶とお菓子がいっぱいの美味しいストーリー ティー・ショップを営むセオドシアは36歳(但し第1作当時)。アメリカ屈指の茶葉鑑定人ドレイトン・コナリーと、一流の菓子職人ヘイリー・パーカーの3人で切り盛りする店は、いつも常連客でいっぱい。 「詩とお茶の会」のクライマックスで雷鳴とともに響く銃声 セオドシアの焼いたケーキの上に落ちてきた被害者は、わずか数分前にお茶の差し入れをした人物だっ…

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ハーンの秘宝を奪取せよ(上)(下)/クライブ・カッスラー/新潮文庫(2008.4.1発行)

ベストセラー作家クライブ・カッスラーのダーク・ピット シリーズの第19作 痛快な気持ちにひたりたいときにどうぞ!! 歴史の秘話と国際謀略がからんだ娯楽性に富んだ冒険アクション小説 1973年に架空の組織であるNUMA(国立海中海洋機関)に所属するダーク・ピットのシリーズ第1作『海中密輸ルートを探れ』でデビュー ダーク・ピットシリーズ 海中密輸ルートを探れ (THE MEDITERRANEAN …

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チャイナタウン/S・J・ローザン/創元推理文庫(1997.11.28発行)

私立探偵リディア・チン&ビル・スミスシリーズの第1作 28歳のカンフー黒帯で無鉄砲で意地っ張りな中国人女性私立探偵が年齢も育ちもかけ離れた白人探偵と二人で組んで依頼された事件に取組むシリーズ チャイナタウンの美術館から寄贈された貴重な磁器のコレクションの一部分が盗まれ、美術館の館長の旧知リディアに盗品の発見を依頼された探偵リディアはパートナーたるビルと共に調査に—- 友人の女性刑事メアリー・薬…

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死の相続/セオドア・ロスコー/原書房ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ(2006.11.2発行)

2008本格ミステリ・ベスト10 海外 (原書房)(2007年)第3位 ミステリが読みたい2008年版 ベスト・ミステリ2007(早川書房)では第20位 <黄金時代の作家たち>というくくりのなかで紹介されているもの 作家のセオドア・ロスコーは1906?1992年  舞台は1930年代のハイチ 解説者は「他の追髄を許さないユニークな密室ミステリ・おそるべき怪作」と記していますが、SFものかと勘違いし…

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その腕のなかで/ルーシー・モンロー/二見文庫ザ・ミステリ・コレクション(2006.11.25発行)

ルーシー・モンローのボディーガード三部作の第1弾 ストーカーに付きまとわれる女流作家のリズ・バートンと彼女を守る元レンジャーの傭兵ジュシュア・ワットが主人公のラブロマンス  ミステリよりロマンスに重点があリロマンス小説が好きな人に向いている作品です。ラブシーンが多くて電車の中ではちょっと読みにくかも。 サスペンスの部分にも、もう少し力を入れて欲しかったと思います。 3部作だけに次作への導入がしっか…

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アキレス将軍暗殺事件(ファンドーリンの捜査ファイル)/ボリス・アクーニン/岩波書店(2007.2.27発行)

ファンドーリンの捜査ファイル シリーズ第4作 史実に根ざした歴史探偵小説 帝政時代末期のロシアが舞台 総督からアキレス将軍が突然亡くなった事件を捜査する特任捜査官に任ぜられたファンドーリン 日本人の下男マサを連れて捜査にあたりますが、次から次に事件が起こり—- 殺し屋のほうに心を入れてしまうのは何故でしょうか。 同時発行の「リヴァイアサン号殺人事件」は2008本格ミステリ・ベスト10 海外 (…