海外ミステリの本棚

海外ミステリの本棚では、翻訳されたミステリー最新刊を中心にベストセラーも含め実際に読んだ感想・書評 カテゴリー/おすすめを紹介。 独自のジャンル分けや各種ベストテンランキング該当かなども掲載しています。読書頻度は1週間に1,2冊ですが、10年で1000冊を超えました。最新のミステリ情報をこちらからどうぞ。

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「 評価: ☆☆☆ 」 一覧

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殺しのパレード/ローレンス・ブロック/二見文庫-ザ・ミステリ・コレクション(2007.12.25発行)

殺し屋ジョン・ポール・ケラーシリーズ第3弾 9篇からなる連作短編集 電車の中で気軽に楽しむ、殺し屋稼業を続けるケラーの心理を綴った短編集 訳者あとがきにケラーの次回作の紹介が出ています。次作を期待される方は、読まない方がよいと思います。 収録作品 「ケラーの指名打者」「鼻差のケラー」 「ケラーの適応能力」「先を見越したケラー」 「ケラー・ザ・ドッグキラー」「ケラーのダブルドリブル」 「ケラーの平生…

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殺しのリスト/ローレンス・ブロック/二見文庫-ザ・ミステリ・コレクション(2002.6.25発行)

殺し屋ジョン・ポール・ケラーシリーズ第2弾 長編といっても連作短編とほとんど変わりませんが、本書ははっきり言って失敗作 殺しの元締めを父親から引き継いだドットのやることなすことに、いらいらしてきました。 前作の短編のパターンと同じことの繰り返しも多くてがっかりです。訳者はあとがきの中で自分の自慢ばっかりとうとうと書いているし、いったい何を考えているのかな。 2002年6月25日二見文庫-ザ・ミステ…

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夜の炎/キャサリン・コールター/二見文庫(2008.1.15発行)

舞台は19世紀初頭のナポレオンが退位した頃のイングランド 両親を失ったアリエルは17才で後見人異父兄エヴァンによって老レンデル子爵のもとに嫁がされた—— 大きなトラウマを抱えた女性を描くことが多いコールター 今回の主人公も極めつけ ここまで来るとちょっと抵抗感すら憶えてしまう 何もここまで試練を与えなくてもいいのに 応援するよりいらいらしてしまいました。 原題は「Night Fire」 …

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偶然のラビリンス/デイヴィッド・アンブローズ/ヴィレッジブックス(ソニーマガジンズ)(2005.9.20発行)

闘うベストテン2005(ミステリチャンネル)海外ミステリ第8位 サスペンスかSFかサイコスリラーかと、どのジャンルにもまたがっている、ジャンルが混在した(ミックスした)ミステリ これは、はたしてミステリなのでしょうか。 訳者はあとがきで「落とし穴が満載のトリッキーなスリラー」と本書を紹介しています。 ラビリンス(labyrinth)は迷宮・迷路・迷路園・曲がりくねった街路の意 デイヴィッド・アンブ…

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どんがらがん(奇想コレクション)/アヴラム・デイヴィッドスン/河出書房新社(2005.10.30発行)

闘うベストテン2005(ミステリチャンネル)海外ミステリ第10位 「物は証言できない」はEQMM短編小説コンテスト第一席受賞作 「さもなくば海は牡蛎でいっぱいに」はヒューゴー賞受賞  ☆ヒューゴー賞 (The Hugo Awards) 1953年に創設された最も歴史の古いSF賞であり、SF界ではもっとも権威のある賞 対象は前年度に英語で発表された作品 「ラホール駐屯地での出来事」はMWA(アメリカ…

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桃のデザートには隠し味 お料理名人の事件簿1/リヴィア・J・ウォッシュバーン/ランダムハウス講談社(2007.12.1発行)

主人公はもと歴史科教師で下宿屋を営むフィリス・ニューサム 桃の名産地のテキサス北部の平和な田舎町ウェザーフォードで3人のもと女性教師達と暮らしています この平和な町ウェザーフォードで果樹園のオーナーがジャッキでつぶされる事件が起こり、これを手始めに次から次に——- 事件に巻き込まれたフィリスは素人探偵に 気軽に読めるけれど、出された命題(児童虐待・セクシャルハラスメント・介護問題等)は深い…

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物しか書けなかった物書き/ロバート・トゥーイ/河出書房新社(2007.2.10発行)

このミステリーがすごい!2008年版(2007年)ベスト20宝島社<海外>第4位 生涯短編一筋を貫いた短篇作家トゥーイの傑作14篇 表題の作品のようなSF的なものから、借金取りや警官を騙して喜ぶ男の馬鹿話や『階段はこわい』のような生涯の内に4度結婚して4度とも妻を事故で亡くした男の話など多種多様の作品が集まっています。 ミステリが読みたい2008年版 ベスト・ミステリ2007(早川書房)でも第14…

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壁に書かれた予言/ヴァル・マクダ?ミド/集英社文庫(2008.2.25発行)

  2008/04/01    短編集もの, 評価: ☆☆☆

サラ・パラツキーが“はしがき”を書いています「色とりどりの想像力の見本市のような一冊」。 英国推理作家協会ゴールド・ダガー賞受賞(9作目のミステリー小説『殺しの儀式』)作家が初めて編んだ短編傑作19編 ヴァル・マクダ?ミドの今までの作品 最初に主人公にしたのは調査報道記者のリンジー・ゴードン 続いて私立探偵のケイト・ブラナガンを世に送り出した。「殺しの儀式」「殺しの四重奏」「処刑の方程式」「シャド…

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TOKYO YEAR ZERO トーキョー・イヤー・ゼロ/デイヴィッド・ピース/文藝春秋(2007.10.10発行)

このミステリーがすごい!2008年版(2007年)ベスト20宝島社第3位 デイヴィッド・ピースは1967年イギリス生まれ 1994年東京に移住 東京三部作の第1作 舞台は敗戦の日から始まりその1年後が中心 とにかく読みにくかったなというのが感想です。そうでなくともわかりにくいのに、こんなに同じ文書の繰り返しでは正直言ってイライラする。 これがなければ面白いのにな。言葉遊びは自分の世界だけにして欲し…

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死んでもいきたいアルプス旅行/マディ・ハンター/扶桑社ミステリー(2006.3.30発行)

2004年度のアガサ賞「最優秀処女長編賞」にノミネートされた作品 エミリーは、おばあちゃんの付き添いでスイス周遊の高齢者向けツアーに参加した。ホテルの設備は問題あり、食事はイマイチ、ご長寿連はやたら時間にうるさい。最初の晩、添乗員が—– お年寄りの団体旅行は、洋の東西と問わず絶句もののオンパレード、団体のお年寄りに勝てるものはありません。 ミステリとしてよりは、爆笑ものの添乗員旅行記と考えて…

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市民ヴィンス/ジェス・ウォルター/ハヤカワ・ミステリ文庫(2006.12.15発行)

2006年度MWA(アメリカ探偵作家クラブ賞)最優秀長編賞受賞作品 闘うベストテン2007(ミステリチャンネル)海外ミステリ第7位 主人公はドーナツ屋の主人 ヴィンス・キャムデン 裏稼業のカード偽造と麻薬の密売をやめられずにいた。ある日、何者かがヴィンスの命を狙い始めた—-  過去に立ち向かい、どうやってこれからを生きていくかの物語 アメリカ探偵作家クラブは、まじめな話が好きなのでしょうか。 …

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天使は容赦なく殺す/グレッグ・ルッカ/文藝春秋(2007.8.10発行)

主人公はイギリスの秘密情報局(女性)主席特務官のタラ・チェイス イギリス・アメリカ・イスラエルを巻き込んだスパイアクション小説 240ページ以降の後半の展開は見事で、引き込まれていきますが、前半は無駄な部分が多い気がします。 2007年8月10日文藝春秋より発行 …

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ミラー・アイズ/アリソン・ゲイリン/講談社文庫

  2007/10/29    評価: ☆☆☆

物語の舞台はニューヨークシティのブロードウェイ  主人公は午前中は保育園の先生、午後はオフブロードウェイのシアターの切符売りのサマンサ・リーファー 192ページまでとそれ以降では、主人公が午前と午後で職業を変えるように全く違う作品のようです。192ページ以降はすばらしい展開に一気に読んでいけます。 前半は要約すれば10ページほどでいいのではないでしょうか。後半急展開していくミステリと最後まで関係の…

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ついてないことだらけ/キャサリン・サンプソン/新潮文庫

  2007/10/07    評価: ☆☆☆

元テレビプロデューサーで 35歳で 双子のシングルマザー ロビン・バレンタインが主人公 ロンドンが舞台 ミステり?として読むと物足りないが、育児の苦労と喜びや職場の内実について書いた部分は女性に共感を呼ぶかも。 既に第3作まで発表されています。 …

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ロッティー、家へ帰ろう/テリー・ケイ/新潮文庫(2007.7.1発行)

  2007/09/16    評価: ☆☆☆

「百年前のアメリカを舞台に描く愛の絆の物語」心温まるストリーと紹介されています。 『白い犬とワルツを』を先に読んでから読みました。 この作品では、家族の絆を、本作では何を伝えたかったのでしょうか。 ある読者は、「ああ、いい話だったなあ」とコメントを終わらせています。 古き時代のアメリカの心温まるお話です。 でもちょっと納得がいきませんでした。 あなたはどう思いますか。ちょっと疲れたときに、読んでみ…