海外ミステリの本棚

海外ミステリの本棚では、翻訳されたミステリー最新刊を中心にベストセラーも含め実際に読んだ感想・書評 カテゴリー/おすすめを紹介。 独自のジャンル分けや各種ベストテンランキング該当かなども掲載しています。読書頻度は1週間に1,2冊ですが、10年で1000冊を超えました。最新のミステリ情報をこちらからどうぞ。

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「 評価: ☆☆☆ 」 一覧

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報復/ジリアン・ホフマン/ヴィレッジブックス(2004.11.20発行)

ジリアン・ホフマンは、アメリカ、ロングアイランド育ち。セント・ジョンズ大学ロースクール在学中から検察官としての修行を積み、卒業後はフロリダの検事局で検事補となる。専門はドメスティック・バイオレンス。 本書がデビュー作 既にワーナーブラザーズが映画化権を購入  本のレビューは読まないでお読みください。 あるレビュアーが「残念ながら読み進んでいくとともに、緩やかに冷めていきました。」と書いていますが、…

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ケルベロス第五の首/ジーン・ウルフ/国書刊行会; 未来の文学版(2004.7.25発行)

このミステリーがすごい!2005年版(2004年)宝島社第19位 あるレビュアーは「一ページ目から引き込まれてしまう。一ページ目の第2パラグラフまで読まれたい。」 あるレビュアーは、「単純に物語を楽しむぼくには、本書の行間を掘り起こして思考するような小難しいテクスト性はまったくおもしろくなかった」と書いていて、賛否両論に意見が大きく分かれる作品です。 私の感想を言えば、思ったり難解ではなく、引き込…

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悠久の窓(上) (下) /ロバート・ゴダード/講談社文庫(2005.3.15発行)

ロバート・ゴダードは、1954年英国生まれ。ケンブリッジ大学で歴史を学び、公務員生活を経て、’86年のデビュー作『千尋の闇』(創元推理文庫)が絶賛された。現在と過去の謎を巧みに織りまぜ、心に響く愛と裏切りの物語を次々と世に問うベストセラー作家に 本書の解説者は「やっぱりロバート・ゴダードは面白い。」と一言 老父が1人で暮らしている家を買い取りたい―物語はここから始まります。ゴダードが放つ歴史ミステ…

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ホッグ連続殺人/ウィリアム・L.デアンドリア/ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 76-11)

  2005/03/26    評価: ☆☆☆

ウィリアム・L.デアンドリアは、1952年、ニューヨーク州 シラキューズ大学卒業後、工場やミステリ専門書店勤務を経て、1978年に『視聴率の殺人』で作家デビュー。これがMWA賞最優秀新人賞を受賞、翌年発表の『ホッグ連続殺人』も同最優秀ペイパーバック賞受賞と、2年連続の栄誉に輝いた。1996年、ガンのため44歳の若さで死去 本書は1981年発行された文庫の新装版です。2005年1月31日発行 犯人は…

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〈プラチナファンタジイ〉 奇術師/クリストファー・プリースト/ハヤカワ文庫(2004.4.30発行)

闘うベストテン2004(ミステリーチャンネル)第1位 世界幻想文学大賞受賞作品 アンドルー・ウェストリーは、超常現象の特集記事を担当する新聞記者。 一卵性双生児の兄弟がどこかにいるのではないかといつも心に感じていた。 20世紀初頭の稀代の2人の奇術師が残した手記がその謎を解明していく物語。 クリストファー・プリーストは、1943年イギリス生まれ 近年はSFと幻想小説との境界線上にある作品を発表 …

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赤い霧/ポール アルテ/ハヤカワ・ポケット・ミステリ

2004年週刊文春ミステリベストテン第10位 舞台は19世紀末のイギリスのブラックフィールドという村 新聞記者のシドニー・マイルズを名乗る男が十年ぶりにこの村で10年前に起こった密室殺人事件を調べるために帰ってきた。 密室の謎解きの大好きな人や『ホ・・・』と『ワ・・・』まで登場するので、英国ミステリーのファンには見逃せない物語です。個人的には、密室の謎解きものにはあまり興味がないので、評価が低くな…

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レッド・ライト/(上)(下)T.ジェファーソン パーカー/講談社文庫(2005.2.15発行)

女刑事マーシ・レイボーン シリーズ第2作 女刑事マーシ・レイボーンの内心の葛藤に多くの時間が割かれていて、ストリーの展開が遅いと私は感じました。 この点をどう評価するかでこの作品の評価が高くなったり、低くなったりすると思います。小説なので、内心の葛藤がもっと高い次元のものなら良いのにと思いました。 MWA賞(2001年度最優秀長篇賞)ノミネート作品 第1作『ブルー・アワー〈上〉〈下〉』第3作『ブラ…

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文学刑事サーズデイ・ネクスト〈2〉さらば、大鴉/ジャスパー フォード/ソニーマガジンズ(2004.9.20発行)

闘うベストテン2004(ミステリチャンネル)海外ミステリ第3位 高い評価を受けています。 この『文学刑事シリーズ』は英米で熱狂的人気を博し既に3巻までが出版されている 第2作 舞台は1985年のイギリスだが、今とは違う歴史をたどるもう一つの別のイギリス。超巨大企業に事実上支配されていて、コンピューターはなく、空の旅は飛行船。クローン技術とタイムトラベル術は発達し、様々な絶滅種が再生されている。文学…

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逃げる悪女/ジェフ・アボット/ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 288-3)(2005.1.15発行)

  2005/02/15    評価: ☆☆☆

治安判事ホイット・モーズリーを主人公にしたシリーズ第3作 ミステリ?として読むよりは、気軽な冒険小説として楽しむ本。 あまりにも都合の良い銃撃場面や殺人が多すぎて納得ができなくなるので、何も考えずに楽しめば良い。 冒険小説にしては少し物足りないし、法廷ミステリでは全くありません。主人公を判事にした意味は一体どこにあるのでしょうか。 主人公の母親のタフな生き方や親子の愛情にはほろりとさせられました。…

天使の背徳

天使の背徳―Requiem for an angel/アンドリュー・テイラー/講談社文庫(2005.1.15発行)

作家はイギリス生まれ 82年デビュー作が英国推理作家協会の最優秀新人賞を受賞 3連作の第2作『天使の背徳』 舞台は1969年から1970年のイギリス・ロンドン近郊の小さな町 主人公は教会牧師のデイヴィット・バイフィールド 第1作の『天使の遊戯』に老牧師として登場していました。 第2作のこの作品はミステリというよりは、第1作よりさらに心理描写に重点を置いた小説だといってよいと思います。3作目まで読ま…

ワイオミングの惨劇

ワイオミングの惨劇/トレヴェニアン/新潮文庫

このミステリーがすごい!2005年版(2004年)宝島社第3位 作家は伝説(?)の覆面作家 自分のプライバシーを守っている人だそうです。 19世紀末のアメリカが舞台 50ページまでは本当に退屈だし128ページまで行っても、西部の町の住民紹介だけ。どう展開していくのか予想がついてしまうし、凶悪犯にはいらいら以上の嫌悪感を覚える。映画化を想定して書いているのでしょうか。  闘うベストテン2004(ミス…

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ブラック・ウォーター/T・ジェファーソン パーカー/ハヤカワ・ノヴェルズ(2003.2発行)

女刑事マーシ・レイボーン シリーズの第3作 第1作同様にサスペンスとラブストリートを楽しめますが、出世したいだけの地方検事補の妨害やマーシ・レイボーンの内心の葛藤に多くの紙面がさかれて、ちょっといらいらします。すばらしいストリーなだけに、爽快な気分でずっと読みたいと思いました。 なお、第2作はいつ出るのでしょうか。 文庫版は2007年2月8日ハヤカワ・ミステリ文庫より発行 …

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死の序列/キャスリーン レイクス/角川書店(2005.5.25発行)

「法人類学者」テンペランス・ブレナンのシリーズ第2作。 法人類学者で骨の鑑定の専門家であるテンペランス・ブレナンは、修道院の依頼により19世紀の尼僧の遺骨発掘調査を行っていた— 昆虫が与える情報が、死亡推定時刻にこんな大きな役割を果たすなんて驚きでした。 今回は丁寧に事件の真相が説明されています。 2005年5月25日 角川書店より発行 …

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炎に消えた名画(アート) /チャールズ ウィルフォード/扶桑社ミステリー

闘うベストテン2004海外ミステリ第9位 このミステリーがすごい!2005度版海外編第12位 最後まで読んでみると、ストリートしてはおもしろいと思う。 だけど、78ページから110ページまでは、美術の説明に終始し、小説の中で話を聞いていた恋人が眠ってしまったように、眠ってしまいました。 この部分は、翻訳者の楽しい気持ちは伝わってくるものの、美術に興味が少ししかない人には、難解でおもしろくない。飛ば…